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対峙
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五分ほど前に昼休み終了のチャイムがなった、にも関わらず長山は一人一般棟の廊下を歩いていた。
そういえば結局犯人誰だったんだ?
今、長山の頭を占めているのは邪魔が入るまで読んでいた本の結末だ。
ただ、一つのことに執着するタチではないので、どうせそれもすぐ忘れて、また違う本を読み出すのだろうけど。
カツンカツンカツン
静かな空間に長山の足音だけが響く。
カツンカツンカツン
その音に重なるように鳴るもう一つの音。
既視感のようなものを感じた。
音の正体は、やはり鳴海で、長山に気付くと驚き立ち止まった。
人一人分の距離を空け、お互い見つめ合う。
「また会ったな」
「・・・・・こんにちは」
長山に対して鳴海は全身をまるで値踏みするかのようにジロジロ眺める。
不躾なその態度に眉をひそめそうになるも平静を保ち次の言葉を待った。
「まだそんな皮を被っているのか?いい加減本性を曝したらどうだ?」
「・・・・なんのことですか?」
「しらを切る気か。まぁいいだろう。今は存分に分厚い皮を被っているがいい。だが、その皮いつか破れるぞ。呆気ないほど簡単にな」
そう言うと鳴海は長山に視線を合わせることなく横を通りすぎていく。
その後を追うように長山はずっと鳴海の背を眺めていた。
レンズが反射してその瞳を見ることはできず、何を考えているのか窺い知ることはできないが、その下の口唇は綺麗な弧を描いていた。
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