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やってきました全国模試。
俺の急成長した頭脳をみせてやるぜ。あーねむーい。
「保健室が俺を呼んでる…いや、もっと特定のものを言えばベッドが…」
「終わったらいくらでも寝かせてやるよ朝は起こすけどな」
ホスト教師も俺とリューセイの全国模試対決は賛成らしく、早朝6時に起こされた。
しかも頭がよく働くようにとごはんもしっかり食わされ、甘いものも食べろと俺の大好きなボーロを散々食わされ。
ああ応援されてるなって思ったものの、なかなか素直に喜べないのは何ででしょうか(正解はみんながリューセイと瑪織を離すために俺を活用してるからです)。
でもまあ、負ける気はしないな。
「はい、全員席につきましたね」
担任ではなくテスト担当の鬼畜教師がきてるからか、しんと静まるクラスには空席が目立った。
とゆか、肝心なリューセイが…いない?
「先生ぇ、あの」
「なんでしょう春枝君」
「リューセイ…休みの人は無断ではないですよね、風邪ですか」
「そうですが、どうしました」
嘘だろ俺の意気込み返せよリューセイ。
悶々とするなか遠慮なく配られるテストを仕方なく受けとる。
これは不戦勝…とかいうやつだろうか、だってほら体調管理も勝負のうちだとかいうじゃん?
あぁあ、せっかく俺と瑪織を離すチャンスになにやってんだかあいつ。
「……」
始まりの合図とともにパラリ、問題用紙を開く。
いままでの俺ならわからなかったどころか読む気すら失せてた問題も解ける。
軽快にすべるペンの音。
真剣に紙と向き合うクラスの人たち。
空席が、目立つ。
すこしだけ苛々した。
「はあ…」
ばふーんホコリを舞い上げるようにソファーに倒れ込む。
頭の脳みそ使いすぎて縮んじゃった気がする。
眠気に教われ夕方だというのにご飯も食べず、寝る体勢にはいっている。
だんだんと赤色に染まる外とだんだん暗くなる俺の視界。
まぶたを閉じたら自分の一番大切なものが浮かぶんだよと、幼い頃誰かが教えてくれた。
でも、あの頃から何も浮かばないよ。
夢の世界に入るのが、一番楽な世界だなんて現実逃避も良いところだ。
コン…
控えめに扉を叩く音がした。
続けて二回ほど叩かれたが、眠たくて出る気になれない。
しばらく静まり返っていたかと思うと、カチャリ…静かに扉が開かれる音がして冷水を浴びたように目が覚めた。
「……」
「泰浩…?」
「なんで入ってこれたの?え、パスワード付きでオートロックだから普通は無理で」
あそっか王道主人公リューセイに不可能は無いのか。
ふと小説での凡蔵君がどこでも開けれるカードキーをラブレターと一緒に、生徒会長に貰ってた場面を思い出す。
リューセイもきっとそんな感じだろう…つか、いや風邪っぴきの癖に入ってきやがった。
「風邪なんだろ」
「ずずっ…」
「鼻をすするなティッシュそこだから。鼻かんだら出てけよ風邪引きたくないからな俺」
「…ぜんこく、模試」
「俺の不戦勝だろ」
ティッシュでずるずると鼻をかむと、真っ赤になったのは鼻だけでなく目元もで。
あ、と起き上がった瞬間リューセイは泣いていた。
「や、やだ…よ……おれは、いづると離れたくないっ!!いづる、は、っ俺をゆいいつしかって、くれて、……大好きな、ひと。でっ!」
しゃくりあげながらのリューセイの言葉は聞き取りづらくて、でもよく頭で噛んで理解すれば溜め息しかでない。
本当に瑪織が好きなんだねー…って、感じで。
「叱ってくれる人が好きなんて餓鬼か」
「っ…お前にはわかんねえよ!お前は、愛され過ぎて困ることなんかなさそうだしっ。俺は、可愛がって欲しいんじゃないっ。対等に見て、なんでも言ってくれる奴が欲しくて…!」
「酷い傷ついた。愛されなさそうだと?もう無理不戦勝撤回してやろうと思ったけどもう無理」
「あーやだーいやだーお願いします」
「何がだよ。土下座して泣きべそかきながら謝れば許してやるよ」
「おまっ…性格悪いなあ!そんなんだと友達できないんだぞっ」
「居ないもーん」
今も昔も友達なんて居たことねえよばかやろう。
(いつも俺を通して)
(幼馴染みとか名声とか)
(別のものばかりみてる奴ばかり)
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