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無意識
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どうしたら…………
あれ以来龍之介に会っていない。
突然どうして…?
ハシゴを上がってくる音がした。
ついにその音はコンクリートを踏む。
「遙…、いるの……………?」
俺はそこを動けず、蹲るしかなかった。
「………ここに、いたのか…」
自分の上から声が聞こえた。
「なに、…」
俺は震え混じりに答えることしかできなかった。
「謝りたかったんだ、遙。ごめん」
自分の弱さに自己嫌悪を覚えて頭の中がグルグルだったけれど、龍之介の予想外の言葉に思考が停止してしまった。
「あの時、…カッとなって…………吾を忘れてた…。ごめん…。素直に信じてあげられなくて、ごめん」
いいんだよ、龍之介。
たぶん、きっと……全部全部俺のせいなんだから。
「気に…しないで、……俺も…ごめ、………」
ピリリリッ ピリリリッ
一ノ瀬さんからだった。
龍之介に断って応答を押す。
「もし、もし……」
『今どこにいるの?』
「学校…………です」
『あの傷でひとりで学校に行ったんだ?勝手に行かないようにわざと救急箱捨てておいたのに、…傷が広がったらどうするの?遙の体は一ノ瀬のものだよ、遙だけのものじゃない。
すぐに学校を出てこい』
「っ…………………、わかり、ました…」
龍之介を押しのけて走る。
傷が痛いとか、開くとかそんなのどうでもよくて。
あの声色の一ノ瀬さんが怖くて。怖くてたまらなかったから、無意識に…走っていたのかもしれない。
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