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着せ替え人形【榎月】*08
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女性の買い物は兎に角、本当に驚くほど時間が掛かる。
幼なじみの瑠璃の時も思ったが、きいやさんはそれ以上だ。
「覚悟して。まだ掛かるから…」
「分かりました。」
近くの自販機で缶コーヒーを買い、ちなはさんが私に手渡す。
「ちなはーっ!」
そして、きいやさんに呼ばれて彼女の元へ戻って行った。
慣れているのか、ちなはさんは嫌な顔ひとつせず、きいやさんの買い物に根気良く付き合っていく。
アパレルショップに入るや否や、きいやさんの選んだ服を片っ端から着せられ、こちらでも着せ替え人形状態のちなはさんに無言で十字を切る。
缶コーヒーに口を付け、二人の姿が見えるフロアでぼんやりとソファに腰を掛けて、時間を過ごしていると
「あの、お一人ですか?」
不意に、二人組の女性に声を掛けられた。
「いえ…」
私が声を掛けられているのに気付いたちなはさんが、こちらを見ている。
「さっきから格好良いなって友達と話してて、もし良かったら…」
「…彼に何か?」
「ちなはさ…」
突然、現れた美人に女性たちが言葉を失う。
「僕たちから離れないで。」
「分かっています。済みません、そういう事なので…」
冷ややかに女性たちを見詰めるちなはさんを横目に、軽く会釈をする。
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