アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
水族館デート【榎月】*10
-
「榎月ばっかズルい…」
瑠璃が悔しそうに地団駄を踏んだ。
「それにしても、本当にベッタリになっちゃったわね。正直、ここまでちなはが懐くとは思わなかったわ。会長サマ、何したの…」
それを問われれば、色々と思い当たる節しかない。
「いや、今更か。思い出した。ちなは、確か初等部の頃から会長サマの事、好きだったわ。」
きいやさんの爆弾発言に、ちなはさんが慌てふためく。
「き、きいやちゃ…」
「前に、通り掛かった会長サマがちなはを助けた事、あったでしょ?ちなはと祖母の家に来たの覚えてる?あれね、たまたま会長サマと好みが重なって同じ本を借りたか何かで、会長サマの感想が気になってウロウロしてたら矢濱に絡まれたんだって。」
「あぁ、ありましたね…」
下校途中、下駄箱の隅の方でクラスメイトたちに囲まれて恐怖に引き攣った顔のちなはさんを見掛け、大声で先生を呼ぶ振りをして、ちなはさんと一緒に逃げたのを思い出す。
「あの時は確か、大粒の涙をボロボロ溢して震えるちなはさんの手を引いて、何とか宥めながら聞き出した家までね、行きました。」
「な、何で覚えてるの…」
恥ずかしさに打ちのめされ、ちなはさんが私の背中に小判鮫のように張り付いた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
158 / 489