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EpisodeⅡ
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「行ってきます……」
「大丈夫?辛いなら休んでいいのよ…」
「大丈夫だよ…
僕だけが耐えれば皆守れるんだから」
無理矢理、笑顔を作って
母さんの方を振り向くと悲しそうな
笑顔をしていた。
「薬、持った?」
「うん…」
「なら行って来なさい!!」
毎日、玄関先で行われる
やり取りにも慣れたものだ。
学校に着けば靴が無いのは当たり前。
だから職員室に向かうと
先生達が辛そうな顔をする。
「羽崎先生、
今日お昼保健室使っていいですか?」
「どうしたんですか?」
「今日は少し呼吸が苦しいので
注射をと思って……」
肺胞低換気症候群では、
アセトゼラミドか、プロゲステロン製剤
のどちらか体に合ったものを
注射として打っている人が居る。
僕の場合は呼吸が苦しい時だけ
アセトゼラミドを打っている。
それを説明している
校長は保健室の担当を羽崎先生と
元々担当していた先生の2人制にした。
「分かりました。
ついでに怪我の治療もしましょう」
「はい……」
室内履き用の靴を借りて、
教室に入ると「また来たんだ〜」とか
悪口を言ってきた。
また僕の机が無い。
机を取りに行こうとしたら
後ろにいた奴に思いっきり殴られた。
「お前みたいな奴がいるくせに、
世界では苦しんでる奴がいるって
世の中って理不尽だよな~
なぁ皆!!」
「そうだ!」皆がそれに共感している。
毎日、こんな感じだけど
今度は僕の存在価値までも言われると
さすがにムカツクな……
「お前等何も知らねぇくせに
硴嶺の事言ってんじゃねぇよ!」
そう言ったのは
いつも穏やかな羽崎先生だった。
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