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「あっ! そっか」
彼は急に大声をあげ、手をパチンと打った。
「仲良くなりたいって近づいたのに噛みつかれちゃったんだね」
「バッ――!」
勝手な憶測はやめろ。
「ふーん。そっかそっか。それがショックで」
「……っ!」
喉元まで否定が出かかったが、飲み込んだ。真実を話せない以上、誤解されたままの方がマシだ。
けれど、
「そっかそっかあ! 意外に繊細なんだねぇええ!」
嫌味なほどに優しく微笑まれ、さすがに恥ずかしくなった。顔が熱くなる。
「そういうときはさ、鳥から始めようよ。鳥カフェとか! カナリアとか可愛いよ」
うるさい。
なにが鳥だ。なにがカナリアだ。
朝のカラスがやかましいとか言うくせに。
鳥軟骨の唐揚げが最高に美味しいとか言うくせに。
「今度、一緒に行こっ!」
冗談じゃない。
まるで響の案内で店まで連れて行ってくれそうな口ぶりだが、調べるのはどうせ俺の役目なのだ。彼はそれについていくだけ。神社のときと同じである。
俺は鳥なんて、どうでもいいのに。
「ねっ!」
「……うぐっ」
だが、鳥たちとたわむれるその姿に興味がないと言えば――嘘になる。
気づくと俺はアイスをほったらかしていた。冷えたスプーンをくわえたまま、左手にスマホを握りしめる。
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