アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
トモと昴「トモと木村」
-
「セクシュアルハラスメントも単なる個人間のコミュニケーションの齟齬ととらえるか、支配の問題ととらえるかで話しが違ってくる」
木村は、文学部の心理学専攻なので、言語によるコミュニケーションに興味があるらしい。
俺は、理系なので、よくわからない。
「コミュニケーションの齟齬とかじゃないだろ」
俺は言った。
「俺もそう思う」
木村が同意した。
「昨晩、あいつと寝たのか?」
木村がさりげなく聞いた。
「え?」
「酔っぱらってた奴と、部屋に行って……」
「あ、ああ」
「なんで、そんなことするようになったんだ? 最近、トモ、おかしい」
木村は、怒っているようだった。
「いや、部屋についてこられてベッドに押し倒されたけど、頭蹴ってやったら、唇切って逃げてった」
と俺は答えた。
「また襲われてるじゃないか」
「違う。俺が『来いよ』ってベッドに誘った」
「なんでそんなこと」
「負けたくなかったから。据え膳食わぬは男の恥って言うし」
「恥じゃないだろ」
「まあ、昨夜の男らとの間にコミュニケーションの齟齬なんかないからな。支配されるか支配するかの戦いあるのみ。それをコミュニケーションの齟齬だなんて思えるのは強者の論理というか、十分な後ろだてと豊富な兵器を装備している余裕というか、平和というか、丸腰じゃないのは確かだ。相手と対等になれるんだからな。対等でないということを自覚できない時点でだめだろ。笑止だな」
「男ら? 複数形?」
「いや、まあ……」
「いいけど。なんでトモが、そんなに弱者に肩入れするんだよ」
「弱者ってのも嫌な言い方だが、木村によれば、俺は、襲われたんだろ? で襲った相手と付き合ってる哀れな男と。だからなあ、肩入れするんだよ」
俺は、木村の肩を叩いた。筋肉が張っていて、昴とは違う。
昴に会いたい、早く昴に会いたい。
「でも、好きなんだろ?」
「どうかなあ?」
俺はジュン君と昴を思い浮かべた。
「快楽としては、たまらないものがあるよ」
「もとから、好きだったのか? その彼氏のこと」
「いや。それまで男と付き合うとか全く考えたことなかったから。でも、上手いんだよ。それに顔もきれいだし、俺のことすごく好きらしいから、まあ、いいかって」
「いいかげんだなあ」
「だよな」
俺は、最初に昴にしゃぶられた時のことを思い出して、ゾクゾクした。
昨晩の風呂場の脱衣所での行為も。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
89 / 252