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竹春と夏目と回想譲
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竹春は、徐々に思い出した。
あれは夢だと思っていたが、現実だったのだ。
若い医師だった。
「尿道カテーテル」
と聞こえた。
「待ってください」
と竹春は言った。
言わなかったかもしれない。
竹春は若い男性医師の白衣を引っ張った。
「なんですか?」
「あなたに」
「え?」
「あなたにお願いしたい」
竹春は訴えた。
「看護師は慣れているから大丈夫ですよ」
医師は困った顔をした。
かわいい。
困った顔をすると一層幼く見えて、どこか潤に似ていた。
潤よりも、真っ当な人間そうだが。
そうだ兄さんに似ている。
潤ではなくて、兄さんに余計似ているかもしれない。
「誰でも、美しい人は、『兄さんに似ている』と言いだす病気だよな、親父は」と譲によく言われるが。
少なくとも譲には似ていない。
譲とそれほど変わらない年齢なのだろうが。
譲に見られたら、横恋慕されそうだ。
あいつとは趣味がかぶるからなあ。
困ったことに。
もちろん譲も、いい男だが。
でも、譲としたのはまずかった。
あんなことを。
血は争えない。
あんなにあの行為を嫌悪していたのに。
親のようになるまいと思っていたのに、親のようになってしまった。
ついにあの行為まで。
それだけは、しないようにしていたのに。
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