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お酒の席 2
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連れてこられた店は、和風な作りの居酒屋だった。
「いらっしゃいませー」
明るい髪色の店員に迎え入れられる。
名前を告げると、店員は人懐っこい笑顔を浮かべる。
「なんだ三枝って侑のことか。電話じゃわかんないもんだな。上の予約席案内するよ」
「おー。お前また髪色明るくしたか?」
「してないよ、勝手に色落ちしてきたの」
店員との会話で、ここが本当に三枝の行き付けなのだとわかる。
席に通されて、おしぼりを渡される。
「あ、どうも・・・」
「君、かわいい顔してんね?侑の趣味ってこういうかわいい系?」
まじまじと顔を凝視されて、僕は少し戸惑う。
三枝が常連客なせいなのだろうが、ずいぶんとフレンドリーな接客だ。
「うっせぇなぁ。職場の同期だよ」
「侑は結構うちに来てくれるけど、人を連れて来るなんて珍しいからさ、ゆっくりして行ってね。あ、これメニュー表。どうぞ」
どうやら、三枝の先ほどの一人飲みばかりという言葉は、何の謙遜でもないようだ。
「ありがとう。僕名古屋に転勤して来たばかりで、三枝くんに色々教えて貰っているとこなんだ。ここのオススメは何?」
「飲み物なら日本酒。食べ物は魚かな。侑が必ず頼むのは、この辺り」
そう言って、店員はメニュー表を指差して説明してくれる。
「松山、飲み物どうする?」
「んー、じゃあせっかくだし、おいしい日本酒飲みたいな」
「あ、じゃあこれどうですか?3種類の日本酒飲み比べできるやつ。日本酒の種類は日替わりなんだけど、今日はここの3種類」
「へぇ、面白いね。じゃあ、それにしてみるよ」
僕は先ほど受け取ったおしぼりで手を拭きながら、店員の勧めのままに注文を決める。
三枝は、常連客らしく「いつものでいいよね?」と確認されるだけだった。
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