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お酒の席 3
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「わぁーこれ美味しい~!日本酒も飲みやすいー」
僕は運ばれてきた料理をつまみつつ、日本酒を堪能する。
少し大ぶりの御猪口とはいえ、すでにもう5杯目だ。
「お前、酒弱いんじゃなかった?」
「強くはないよ」
「いや、こんな前菜しか並んでないような序盤から日本酒ガンガン飲むのは十分酒に強いやつの飲み方だろ」
「嫌だな、僕、これでも営業ですよ?」
営業は酒なんて飲めて当然、強くて当たり前。
古い考えだとは思うけれど、ありとあらゆる場面で、半強制的に飲まされる。
それが辛くて営業を辞めるやつもいる。
三枝は、周囲にいる営業でも思い出したのか、納得した様子だった。
「お前が酒に強いのは意外だったな」
「だから強くないよ。悪酔いしない為の飲み方が大事なんだよ」
「たとえば?」
「人それぞれだけど、僕は炭酸と相性がすこぶる悪くて、ビールやハイボール、酎ハイにはまず手を出さないんだ。あれを飲むとどうにも良くなくて…二日酔いにもなりやすいし」
こういう会話が成立するということは、僕は三枝と本当に学生時代に飲み会を共にしたことはないんだな、と確信する。
「単純にアルコール度数ってわけじゃないんだな」
「そういうこと。だから駆けつけ一杯のビールがどうにも苦手で、いっつもどうするか悩んでるよ」
僕はそう言いながら6杯めの日本酒に口を付ける。
するりとした味わいと後からくるピリっとした辛味が喉を抜けていく。
三枝は「なるほど」と頷き、僕の飲みっぷりを見つめていた。
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