アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
暗い部屋_1
-
玄関を入ってすぐの床に僕を座らせ、仁王立ちして見下ろす冷たい瞳。
黒い前髪はきっちり分けられていて乱れもない。
隙のないスーツ姿に銀縁の眼鏡。
艶のある革靴を脱ぎ捨てて僕に近付いてくる。
神経質そうな所は昔から全く変わっていない。
「…夏彦、兄さん。」
名前を出すだけで、がたがたと震える体。
見開いてまばたきを忘れた瞳。
からからに乾いてひきつる喉。
必死で逃げようと後ろに下がっていくけど、狭いワンルームではすぐに壁に突き当たる。
腰が抜けているように力が入らない。
足首をつかまれて、喉から出そうになった悲鳴を飲み込む。
「なんで逃げるんだ。せっかく探し当てた携帯電話も突然使われなくなって、心配してきてみればこんな時間まで帰宅もしない。だいたい、そんなだらしない服装でどこへ行っていたんだ。夜遊びするのは寂しいからだろう。いつまでも意地を張ってないで、実家に帰ってこい。」
僕は優也さんが着せてくれたジャージのまま帰ってきていた。
あの場所で着替えたら、起こしてしまいそうだったから…
言葉の出ない僕に苛立ったのか。
パシン
平手で頬を殴られる。
どうして、ここにいるの。
どうして、僕を追いつめるの
どうして…僕は逃げられないの
突然現れた悪夢に脳みそが対応しきれない。
「迎えにきてくれてありがとうくらい言えないのか?可愛気のない…その首、女がいるのか。」
トーンを落とした声にびくついて、咄嗟に首筋を手で覆う。
「その汚らしい色気を振りまいて誰とでも寝ているんだろう。病気をもらっているかもしれない。身体検査をしてやるから脱ぎなさい。」
無駄な抵抗とわかっていても首を横に振る。
「兄さん…こんな事は、やめてください。僕は戻りたくない。」
言い切った後に昔を思い出して激しく後悔をした。
夏彦の眉が吊り上がり、こめかみをぴくぴくさせてキレる直前の顔。
この顔を見た次の日はろくに動けなかったのを鮮明に思い出す。
激しい暴力の記憶。それを思い出して僕は体を丸める。少しでも痛みに耐えられるように。
「何年も放っておいたから拗ねているのか?もうオマエを放置しておく理由がなくなるから迎えにきてやったんだ。親父の死に目に会いたいだろう?殴らないから大人しく言う事を聞きなさい。」
親父の死に目?あの人が死ぬ?
予想外の言葉が降ってきて思考を働かせたのもつかの間。意味を考える余裕もなく脇腹から手を差し込まれてジャージが捲られる。
「やめてっ、見ないでくださいっ」
みるみる顔色が変わっていくのがわかった。
驚いて当然…
優也さんのつけた跡だらけなのだから。
頭からジャージを抜かれて上半身が露になると馬鹿にするように罵られた。
「はっ、相手は男か。かわいそうに。僕が忘れられなかったのか。本当に仕方の無い弟だ。」
目の前でネクタイを引き抜いて両手をまとめられる。
厭らしく息を荒げ、口は歪み、下等な生物を見るような目つきでその姿を眺められる。
その目つき、じっとりしたその手つき。
何もかもが昔に回帰していくようだった。
痛みも苦しみも屈辱も…
恐怖で目の前が薄暗くなってくる。
もう二度と戻りたくない場所にまた落ちようとしている。
イヤダ、イヤダっ!!
こんなのはもうごめんだっ。
「はなっして、くださいっ。兄さんっ。いやだっ」
暴れた僕の首を掴み、ダンッと力任せにフローリングの床に転がされる。
強打した背中の痛みで目の前がチカチカする。
剥き出しになった肩を、ぞっとする程湿った手がつかんで床に押し付けられる。
反対の手が胸の突起に触れた。
恐怖の記憶が強すぎて身動きがとれない。
掴まれた突起を力任せに引っ張られて、あまりの痛みに悲鳴を堪えられなくなる。
「ひぃーっ、痛いっ。千切れるっ。やめてくださいっ」
そう言った所で今度は頬を目一杯はたかれる。
「逆らえる立場じゃないだろう。オマエは犯罪者なんだから。」
久しく暴力を振るわれていなかった体はすっかり痛みに弱くなっていた。床に倒されたまま、左右から連続で頬を打たれながら涙が溢れる。
犯罪者ナンダカラ…
やっぱり、あんな幸せに手が届くなんて幻想だったんだ。
僕の手はいつも届かない。
いつしか完全に体の力を抜いて諦めた。
殴り疲れて息を切らせた兄さんは手を止めて、身につけている残りの衣服を剥ぎ取った。
抵抗しなくなった事に気をよくしたのか、腕を結んでいたネクタイを外し、足首を高く持ち上げてテーブルに固定した。全裸の僕には隠すすべもない。
大きく開かれた足の間に入りこんだ兄は、そこをニヤニヤと眺める。
「さて、これで調べやすくなったぞ。僕みたいに優秀な医者に見てもらえるのを光栄に思えよ。」
ふうっ、と孔に息を吹きかけられてますます震えが止まらなくなる。
起き上がりたくても床に張り付いてしまったように体が動かない。
「遊んでいる割にはどこもかしこも綺麗な色だ。」
情けなく垂れ下がった性器を乱暴に擦り、後孔のしわを広げるように見られて気まずさに顔をしかめる。触られた箇所がどこも全部気持ち悪くて身震いをするものの、視線から逃れられる訳じゃない。
顔をあげた夏彦は、全身を眺めて乳首のすぐ横にあるカサブタをはがした。
「っ」
それだけでは満足できなかったのか、傷口を広げるように爪をたて、ぷっくりと浮かんできた血の塊に犬歯を突き立てられる。そのまま舌が這っていって傷口ごと乳首に噛み付かれる。
「ぐっ…」
ぴりりとした痛みと、這わされた舌の気持ち悪さに喉の奥から悲鳴がでそうになる。
「かわいそうに。これは誰につけられた?」
口を結んだままの僕を楽しそうに歪んだ口で見下ろす。
「オマエが素直になる方法を知っているよ。オマエは昔からこれが大好きだったもんなぁ。」
くぐもった声でそう言い、自分の下半身を取り出す。
体の奥底から血の気が引いて行くのがわかる。
はちきれんばかりに立ち上がった欲望は恐怖の象徴だった。
10年以上経過した今も変わらない恐怖心を抱かせるそれを見て、込み上げたのは吐き気だった。
一層ひどく震える僕を笑いながら、ズクリと人差し指を後孔に差し込まれる。
「ぐうっ、うう。」
「触診だよ。嬉しいだろう。僕がいないからって外でこんなに腫れるまでやってくるなんて淫乱のままなんだな。仕方ないから昔のようにまた僕が慰めてやるよ。邪魔者がいなくなれば毎日何時間だってやってやれる」
冗談じゃない。と言いたい言葉をガチガチと鳴る奥歯が止める。
くくっと喉で笑って、ぐりぐり指を押し進めてくる。
さっきまでの行為があったからか、それ程痛みは感じない。
それでも男のその場所は本来、受け入れる為の場所じゃない。何の力も借りないで異物の挿入に耐えられる器官でない事は自分でもよくわかっている。
乾いた粘膜が乱暴に擦られてヒリヒリする。
痛みと苦痛しかない扱い。
望まない相手に触られている嫌悪感。
込み上げる吐き気をこらえながら、目を閉じてじっと耐える。
「ひいぃーっ」
ズブリと、尿道に爪が差し込まれた。
目を開けると萎えきった先端に小指を挿入しようとしているのが見えた。
「い、いたいっ。兄さんっ」
生理的な涙を流しながら訴えると、気がふれたように高い声で笑い出した。
「オマエの苦痛が僕には一番の快楽だ。もっともっと苦しんで楽しませてくれ。」
心底楽しそうに無理矢理、第一関節まで指を突っ込み、勢い良く抜く事を繰り返される。
痛みを通り越して灼熱を当てられているようにじんじんする。
「かはっ…」
完全に力の抜けた僕の手を強引につかんで反り返ったモノを掴まされる。
差し込まれた指がぐりぐりと動く。
気が遠くなりそうな痛み。
握らされている感触が、触れられている感触が、気持ち悪い。
同じ体なのに、どうしてこんなに違うんだろう。
涙を流す僕がそんなに面白いんだろうか。
笑い続ける夏彦の存在が心底、気持ち悪いモノに見える。
痛みで緩んだ口の端からよだれがだらだらと流れるけど止めようがない。
せめてこれ以上、体に触れないで欲しい。
尿道への刺激が強すぎたのか、じんわり液体がにじんでくる。それに気付いて指を抜き取り、人差し指から小指までを僕の口に突っ込む。
アンモニアの匂いが広がって、堪えていた吐き気が込み上げてきた。ニヤニヤ笑う夏彦の指に口の中で逃げる舌をつかまれ、耐え切れなくなった僕は倒されたまま吐いてしまった。
胃が空っぽだったのが幸いして、胃液のような液体しか出なかったけど
「汚いなぁ。僕の手にかかっただろ。」
そう言ってその手をまた僕の口に押し込んで、舐めとるように促される。
口を塞がれて、しぶしぶその指に舌を這わせる。
匂いとか汚いとか、どうでもよくて
とにかく、気持ちが悪い。
僕が嫌々そうしているのを見て夏彦はまた楽しそうに笑う。
「ははっ。オマエ随分と色気振りまいてるなぁ。これは時間をかけて躾なおす必要がありそうだ」
狂ったようにモノをしごかせ、僕の胸元にドロリと吐き出してその先端を拭き取るように太ももになすりつけた。
気持ち悪い。
空気に触れて強いタンパク質の匂いが鼻をつく。
拭き取る事もできないでいると、だんだん毒が広がるように思考が麻痺し始める。
もう逃げられない。
僕の自由時間は終わってしまった…
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
64 / 155