アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
束縛_2
-
今日何度目かのシャワーを浴びながら、ぼんやりした頭を働かせようとする。
どんなに居心地が良くても
どんなに一緒にいたくても
何もしないまま、ここにいる訳にはいかない。
写真のデータを何とかしなくては。
何を言ってくるかわからない。
優也さんに迷惑を掛けるその前に…
考えこんでいると両手で頬を包まれた。
「その不安、俺に預けてみないか?」
じっと見つめる視線は本気で言っているとわかる。
その気持ちが嬉しくて、卑怯な自分が悲しくて視界がぼやける。
僕はまだ何も話してない。
生きていくために、自分の罪を隠す為だけに
何をしてきたのか。
この不安を、この汚さを、知られたくないから黙っている。
預ける、というのは何もかも曝け出して、更に優也さんに委ねるという意味だろうか。
そんな事できるはずもない。
ましてや、こんなモノが側近にいると知れれば足を引っ張るだけではすまない。
「優也さん…僕は汚い。どうにもならないくらい…だから…」
だから、もう構わないでください…
そう言わなくちゃいけないのに言えない。
構わないで欲しいなんて嘘
ひたすら側にいたい。それだけが僕の本当。
アノヒトの事を優也さんは何も聞かない。
だから黙っている。なんてそんな我が儘、通用するはずないのに。
見つめられているのが苦しくなって顔を背けると強い力で両腕を掴まれた。
ダンっとタイルの壁に強く押し付けられて優也さんを見上げる形になる。
「汚い?そう思う理由をまずじっくりと教えてもらおうか。」
ギラギラした瞳が迫っていた。
これは、怒ってる…?
知られたくない。嫌われたくない。
話したらどうなるだろう。
聞いてもすぐに放り出したりしないかも。
秘書は無理でも、同情で近くに置いてくれるかもしれない?
_オマエはバカなのか。他人が他人にそんなに甘いはずはないだろう?
身を以て知っているくせに_
久しぶりに影の冷え冷えとした声が聞こえたような気がする。
そう、だよね。
甘い考えなんてとっくに捨てたはずだった…
「話して楽になれよ。調べてるのわかってるだろう。愁がだんまりを続けてもウチの探偵は優秀だぞ。何せ奏介のお墨付きだからな。」
じりじりと距離を縮めた優也さんが覆いかぶさるみたいに僕を抱きすくめる。
心臓がきゅっと鳴って動いている事を知らせる。
優しくしないで欲しい。
そんな資格、僕にはないのだから。
いつか全てが知られるその日まで、この体温を独り占めしていたくて。
そんな日がこなければいいのに。なんて都合のいい事を考えていた。
いっそ…
いっそ全て話して自分から壊してしまおうか。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
104 / 155