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「……ちょっと待て。もしかしたら」
「え?」
突然、俺の両肩を掴んで引き離し、キョロキョロとあちこち見回したかと思うと、俺の右手に視線を定めた。
「おい、それ貸せ」
「は?」
言うが早いか、返答も待たずに俺の右手からボディクリームをひったくると、直ぐ様キャップを開けてクリームを掬い取る。
「な、何やってんの?」
あんだけ毛嫌いしていたクリームを手に取るなんて、正気の沙汰じゃない。
拓海の意味不明な行動を唖然と見ていると、拓海は俺の言葉なんて無視したままケースをローテーブルに置いて、クリームを掌で伸ばしている。
「……違う」
クリームのついた掌を鼻へ近付けて匂いを嗅ぐと拓海は肩を落とした。
な、なんだ。
クリームの匂いを確かめただけか。
たかがボディクリームにこんなに必死になって、うちひしがれる拓海を見ていたら、何だか可哀想になってきた。
「拓海……。あのさ、いつかきっと、お前好みの匂いが見つかるよ。だから、そんなに気を落とすなって」
ローテーブルの横に座り込む拓海の傍へ行って肩を叩くと、急に手を引っ張られてバランスを崩して拓海の前に仰向けに倒れた。
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