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パチンッと最後の一部をとじ終えると、西浦がガッツポーズを決めた。
「終わった~!!」
「何、この達成感!!」
「二人とも、ありがと!!」
前田が俺達に礼を言うと、俺と西浦は顔を見合わせて笑みを浮かべた。
「いえいえ、前田先生にはいつもお世話になってますから!」
「これからも、よろしくどうぞ!!」
そう言って二人で前田の手を取り、握手を交わす。
前田は俺達の世話ばかりして、助けを求めない。
俺達の仲で何を遠慮しているのか、先生に頼まれた事も一人でやってしまおうとする。
勉強は出来るけれど、甘え下手で、何かほっとけない。
とじたプリントをまとめて、教卓の上に置くと、三人で教室を後にした。
「平原、時間大丈夫?」
腕時計を見ると、六時を過ぎていた。
何時から食事を始めるか聞いてないから、大丈夫かどうかは分からない。
けれど、心配させても悪いから「大丈夫」と答えた。
電車に乗り、駅に着いて三人が解散したのは七時前。
ヤベ……ちょっと遅くなっちゃったな。
茜、怒ってるだろうな。
茜がプリプリ怒る様子を想像しつつ、チャリで家路を急ぐ。
駅前の横断歩道のところで、見覚えのある姿が目に映った。
「おばーさん!」
この前、飴をくれたおばあさんだ。
今度は買い物袋を二つ持っている。
俺の声に気づいて、おばあさんが振り返った。
「あ、あの時のボク!」
ボクって………。
俺、そんなに幼く見えんのかな……。
苦笑いしつつ、おばあさんの横に止まると、おばあさんは嬉しそうに微笑んだ。
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