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「ライアンさん、数学もお得意なんですか?」
父さんが間髪入れずに質問すると、マークさんは少し困ったような顔をした。
「得意という程ではないのですが、大学でも多少勉強していたので、お役に立てるかと思ったのですが……」
「なるほど、それはありがたい!」
何かヤバい予感がする。
聞きたくない、聞きたくない!
俯いて両耳を塞いでいると、強い力で手を引き剥がされた。
「決めたぞ!優希!」
嫌だ、聞きたくない!やめてくれ!
「ライアンさんに家庭教師してもらえ!!」
マジか……。マジで、マジで言ってんのかよ。
父さんを凝視して、必死に首を振った。
「お前、塾に行きたくないんだろ?じゃあ、後は家庭教師してもらうしかないじゃないか!」
酔っぱらって饒舌になった父さんは、俺を責め立てる。
「でもっ……!」
「でもじゃない!!ライアンさんがせっかく名乗り出てくれたんだ。お言葉に甘えて、教えて戴きなさい」
「塾行く!行けばいいんだろ!?」
この際、マークさんにカテキョしてもらうより、塾に行く方がマシだ!
「どうせ塾に行ったところで、居眠りするかボーッとして何も身にならんのがオチだろ。そんなのはな、金の無駄だ!」
勉強したくないのに、譲歩して塾へ行くと宣言したにも関わらず、俺の意見をバッサリ否定してくる酔っぱらい親父に、開いた口が塞がらない。
は……?もう何を言ってもムダってこと?
母さんの方に視線を向けて助けを求めようとしたが、呆れたような顔をして父さんの言動を見ているだけで目が合わない。
もう……諦めるしかないのか。
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