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突然の訪問
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「どちら様で...すか...」
「あはっ、やっほー」
開いた口が塞がらないというのはこのことを言うのだろう。
そこに立っていたのは、今とてつもなく顔を見たくない...。
「翔太...さん」
うん、とりあえず閉めよ。
きっとこれは夢だ。そう、夢の中!
気づかれないようにゆっくり玄関のドアを閉める。
「ちょっとぉ!逃げないでよぉ〜」
「いーやーでーすっー!帰って下さいっ!」
閉める寸前のドアの隙間に足を入れてくる。
ちょ..閉めさせてくださいよ。
「ちょ..!マジで通報しますよ..っ!」
玄関先でドアを引っ張り合ってるようになってしまった。
あぁ、はたから見ればきっと変なやつらだろうぁ....。
「なんなんですかっ!用なんてないでしょう?!」
あんなことを言ってきたのに、なんで俺に構うんだ。
そう思うと、また思い出してしまって泣きそうになる。
なるべく気づかないようにするために下を向く。
今は翔太さんの顔は見たくない。
そう思うと下げていた顔をもっと下に下げる。
翔太さんを見ると、胸が痛くなって...。
「ひぐっ、もうなんなんですかぁ..!」
ついに我慢していた涙が溢れ出す。
こんな歳にもなってわんわん泣くなんていつ頃だろうとぼんやりとした頭の中で考える。
「っ!ごめん...」
「なんなんですか...」
なんであんたがそんな苦しそうな顔で謝んだよ...。
溢れ出す涙を止めようと唇を噛みしめる。
「同情は...やめてください。なんのつもりですか」
「ううん。同情じゃないよ。逃げないで聞いて...」
翔太さんはいきなり真剣になった。
「俺は、お前のことを知りたい」
その言葉を聞いて、胸が張り裂けそうになった。
翔太さんは苦しい顔をする。
「だけど...俺にはわからないことが多すぎて...」
「ごめん」と言って翔太さんは玄関から離れる。
自分でも驚くほどすぐ涙が止まって、鼻で笑っていた。
「...とことんクズですね、呆れました。なんで抱いたんですか。諦めろって言ったり、知りたいって言ったり...」
ドアを閉めると、うるさくしてしまったのか寛己が不安そうな顔をしていた。
すべての力が抜けて、玄関のドアにもたれかかるようにして崩れ落ちる。
「大丈夫だ、大丈夫...っう...」
悪いのは俺で、困らせてたのも俺。
一回だけ抱かれただけで調子に乗って、勝手に怒って。
でも..なんだか吹っ切れた気がする。
ちょっと外を歩こう。
きっと、気分が晴れる。
「寛己、お散歩しよっか。」
「..ん!」
寛己は強くうなずいた。
「じゃあ、支度してな。」
俺は明日真っ赤になりそうな目と真っ赤な鼻が赤みを引くまでそこで待っていた。
「博一...俺はどうしたらいいのかなぁ」
体の関係のやつはいっぱいいる...そりゃもう数え切れないほど。
気持ちいいし、楽だし。
だけど、こんな変な気持ちになったのは博一だけ...。
だからどうしたらいいかわかんない。
二度と、博一の家に行けないな〜。
そんなことを歩きながらぼんやり考えた。
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