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こうやって外をのんびりと散歩するなんて久しぶりだ。
少し暗い道を寛己とゆっくり歩く。
ぎゅっと強く繋がれた右手からは、寛己の体温が伝わってくる。
寛己は突然立ち止まると俺の手を引っ張る。
「どうした?なんかあったか?」
寛己はキラキラと輝いた瞳で公園の方を指した。
「クレープ...食べたいのか?」
クレープに反応して寛己がぴょんぴょん跳ねながら首を縦に振り、頷く。
寛己はあまり、物を欲しがったりしないから、クレープを食べたいと言ってくれたことが嬉しかった。
「よしっ!食べるぞっ!」
寛己は嬉しそうな顔をしてくれた。
クレープを食べる....とは言っものの...
恥ずかしくて食べに来たこともないし、俺にそんなお金なかったので、俺も初めて食べる。
「ばななちょこあいすとるねーどくれーぷ..?
いちごみるくちょこあいすくれーぷ...?
よくわかんねぇー....」
呪文か?これ。
しかも、周りは女がちらほら....
うぅ...恥ずかしい..。
「ひろ...これ」
クレープが決まったのか、キラキラした目で俺を見て、指を指した。
「いちごちょこあいすとるねーどくれーぷ...」
さっきとは少し違う...のか?
というか『とるねーど』が付いてると、付いてないでなにが違うんだ?
悩ましい...。
「俺もそれにしよー」
「お待たせしました!いちごチョコアイストルネードクレープですっ!」
笑顔で噛まずに店員さんがクレープを渡してくれる。
「おぉ...ありがとうございます...でかっ」
寛己もびっくりしているようだった。
「おっきっ...」
でも嬉しいのかニコニコしていた。
...食べきれるか....?
「とりあえず、ベンチ座ろうな」
そう言って歩き出した時、寛己の体が宙に浮く。
「あっ.....」
「寛己っ!」
寛己がコケた!!
大変だっ!
寛己は俺が支えたけど...クレープが...。
前を見ると、寛己が持っていたクレープが頭にべちょっとなってる人がいた。
泣きそうになっている寛己にクレープを渡して勢いよく頭を下げる。
「すっ、すすすす、すみません!」
返事を待っても返ってこず、恐る恐る顔を上げる。
するとクレープがついたところをじっと見つめていた。
絶対これ怒ってるよなっ?!
「気にしないで下さい。それより、怪我はないですか?」
「あっ...はい...」
顔を上げると微笑まれ、クレープを拭きだす。
慌ててそれを手伝う。
怒ってない...のか?
「ん?...博一?」
「へっ...?そうですけど....」
俺がそう言うと、ぱぁっと笑顔になる。
ガシッと手を掴まれ、顔がずいっと寄ってくる。
「まじか!?俺のこと覚えてるっ!?」
「えっーと...誰ですか?」
そんな揺らさないでくれ。
というか、お前誰だよ....。
「覚えてないの?俺だよ!渚」
「なぎさ....?」
どっかで聞いたことある様な...
「あっ!なぎ!?えっ?!」
渚とは引っ越す前までずっと仲が良かった。
引っ越して以来、なぎとは会ったことがなかった。
「...かっこよくなってね...?」
あの時は俺の方が背が高かったのに...。
「引っ越し先がひろちゃんと一緒なんて...!
そう興奮したように言うなぎに勢いよく抱きつかれる。
「ぐふっ..!」
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