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倒せない
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「結局朝ご飯食べられなかったし…」
ぶつくさと文句を言っているシエラを無視して森を進んでいく。
朝ご飯なんて食べなくても生きていける。
「…ソラ、疲れた」
「えー?歩き始めたばっかりだよ。それに、マオは持ち物杖だけだしいいじゃん。俺なんて重い剣持ってんだからな」
「うぇー…」
項垂れてしまったマオの手を引きながら歩いていると、気の上から何かが落ちてきた。
鳥?
「あ、これ…魔物か…。怪我してるじゃん」
威嚇する素振りを見せる魔物は、近付いてきた俺達を倒すつもりなのかよろよろと立ち上がる。
「倒すつもり?無理ね」
「ちょっ、待って。倒さないで」
氷呪文を唱えてトドメを刺そうとするシエラを止めて、魔物の傷口に薬草を張り付ける。
これで治るだろう。
「…ソラってバカなのね。魔物を助けて何になるの?恩を返すどころか仇で返してくるのよ」
「いいよ、それでも。俺はただ殺したくないだけ」
「そんなこと言ってて魔王を倒せるのかしら」
「倒す気なんてないよ。魔王退治なんていってるけど、話し合いで解決しそうならそれで終わりたいし」
「……へぇ、話し合いね…」
シエラがちら、とマオを見る。
マオは気まずそうに目を逸らした。
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