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<君の声を聴く>(日)
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ある日のことだ。
偶々こう太と八尾ちゃんの占いのお店の近くを通った時に八尾ちゃんに捕まった。
「サービスするわよ!!」と、俺とこう太を素早く捕まえると店の中に無理やり引き込まれてしまったのだ。
呆れる俺とは反対に、「占いってはじめて!」と喜ぶこう太は八尾ちゃんのタロットカードに身を乗り出していた。
内心早く帰りたかったけど、喜ぶこう太が見られたからまぁいいか、とこれからの運勢でも占ってもらうことにした。すると。
「あらぁ、石川くん!近い内に怪我するかも!!気をつけてね!!」なんて言われて、「きぃつけねぇとなぁ」とこう太の手を引いて店から出た途端。
「ぐぅえ!!」
どっかの家の二階から植木鉢が落ちてきて俺の頭を直撃した。
「うぎゃー!!お父さん!!」
こう太に頭をひっぱたかれた以上の衝撃に目の前が真っ暗になって、俺は地面に倒れ込んだ。
*
次に目覚めたのは病院だった。
「あ、お父さん!起きた!?」
視界の端っこに半べそをかいているこう太が見えて、そっちに顔を動かそうと思うと、頭をちょっと動かすだけで激痛が走る。
頭には包帯がキツく巻かれているらしく、慣れない感覚に気持ち悪さを感じていると、こう太が俺の手を握りながら、「大丈夫?お医者さん呼んでくる?あ、間宮さんに連絡した方がいい?」と矢継ぎ早に聞いてくる。
その顔を見て、そういや頭に植木鉢が落ちてきたんだっけと思い出した。(後で詳しく聞いてみると、野良猫か何かが植木鉢に触って落ちてきたみたいだ)
心配かけちまったなぁと手を伸ばして頭をぐしゃぐしゃに撫でてやってから「大丈夫だよ」と答えてやると、ようやくこう太はホッとした顔になった。
「もう、心配させないでよ!お父さん、頑丈だけが取り柄なんだから、あれくらい跳ね返してよね!全くもう!」
「ハハハ、わりぃわりぃ。しかし、八尾ちゃんの占いすげぇ当たるなぁ」
「あーあ、心配して損した!」
そんな感じで何気なく会話している時だ。
頭の中になんかノイズが走ったような、キーンとした感覚になった。
【よかったぁ、本当に良かったぁ。大好きなお父さんが死んじゃうかと思った。怖かったよぉ。入院するのかなぁ。一緒にお家帰りたいなぁ】
なんかいきなりこう太がデレたことを言い出したので、なんていうか愛おしさがこみ上げる。
「心配かけてホントにごめんなぁ。俺が愛しいお前を残して死ぬわけねぇだろ。俺もこう太が大好きだよ」
デレデレしながら両腕を伸ばして頭を撫で回すと、顔を真っ赤にしたこう太に跳ね除けられた。
「ば…いきなり何言い出すのさ!!心配とかしてないもん!!」
そしていつもみたいに頭を殴られそうになったので慌てて阻止する。また気を失ったらかなわん。
でも俺はニヤつきながら「嘘つけ。大好きな俺が死んじゃう!とか言っちゃう癖にぃ~」と言い返した。
途端、こう太の顔が歪む。
「い、言ってないよそんなの…」
【え?なんでお父さん、ボクが考えたことわかったの?】
こう太の声が二重に聞こえた気がして、俺は一瞬何が起きたのかわからなかった。
でも気まずそうに目の前のこう太が口をつぐんでいるのに、【気持ち悪い】と聞こえてきたので、これは何かあるな、と悟った。
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