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ー重なり合う音ー
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堪えられない堪えられない堪えられない。
蓮に恋人が出来てから、俺はこのなんとも言えない嫉妬に狂いそうになっていた。
恋人が出来たら俺に会いに来る事は無いとは思っていたけど、本当に会いに来る事が無くなって、出合い頭に会っても、移動教室の時に会っても、会話という会話も無くなって、これはもうただの知り合い程度の関係になってしまっていた。
教室の前を通る度に手を振ってくるもんだから、嬉しい気持ちが勝ってつい手を振り返してしまった事も何度かあるけど、その度に蓮にはあの恋人がいると俺の頭ん中の天使が言う。
人の恋人取っちゃダメだよーなんて。
いい加減もう自覚しよう。俺の恋は砕け散ったのだと潔く諦めて勉強でも何でもいいからそっちに集中しよう。
蓮はただの知り合い。
蓮には可愛い恋人が居る。
そう、恋人が居る。
頭ん中はその繰り返しだ。
こんなに嫉妬するとは思いもしなかった。独占欲なんて俺には皆無だと思っていた。
なのに何だ。
蓮に恋人が出来てから俺はフツフツと煮え滾るこの感情が抑えきれなくなっている。
体育祭が近いからと体育係りの俺は1階の談話室に行っていた時の事だ。1年は何を運ぶとかあの競技の準備は誰がするのかとか話し合ったその帰り、蓮とバッタリ会ってしまった。
部屋の表札を見ると仲谷冴と言う名前。
乱れた制服。胸ポケットからピロンと出ているネクタイ。付き合って1ヶ月も経てばヤ事をやってんのが当たり前かもしれない。
嫉妬から、俺は蓮を冷やかす言葉を言っていた。
その直後、蓮に壁に押し付けられて、驚いて蓮を見たら何か凄い熱い目と言うか、真剣と言うか、その目に見つめられると勘違いしてしまいそうで、好きって言ってしまいそうで、言うのを堪えて、苦しくて、泣いてしまったのはつい最近の事。
そのことがあってから、頑張って堪えていたこの感情がもう限界まで達してしまいそうになっていた。
ほんの、少しの刺激で。
それが今日。ついさっき、限界が来てしまったんだ。
1ヶ月前の臆病な俺はどこに行ったのか、蓮が俺に話があるからと流に呼び出されて部屋に行ったら、冴って奴と蓮がキスしようとしている所を見てしまい、思いっきり邪魔をしてしまっていた。
嫉妬が爆発してしまったのだ。
自分でも驚いた。
何をしてるんだと。
でも、止まらなかった。
好きで好きで好きで好きで、止まらなかった。
言葉で伝えるのって凄く勇気がいる。相手は男友達だから余計だ。
恐くて告白なんて俺に出来るわけが無い。
でも好きだから、さっきの廊下で見た二人を思い出して、ムカついて、
話を聞く為に裏庭に連れてきた筈なのに、俺は自分から蓮にキスをしていた。
それも、結構必死に。
笑えない。
取り返しのつかない事をしてしまった。
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