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蓮にキスをするだけして部屋に逃げ帰った俺は、おかえりと言う隼人を無視して急いで風呂に向かった。
制服を荒い手付きで脱ぎ捨てて、給湯ボタンも押さずに水を頭からかぶった。
冷たい。でも、身体が熱い。
蓮の唇の感触を消す様に、唇を何度も何度も擦ってヒリヒリした。
それでも、消えない。消えてくれない。
「尚、どうした?」
何でこんな事に…。
蓮にあんな事…。
「尚?」
「大丈夫、大丈夫だから」
「あんまり、無理、すんなよ?」
隼人は優しい。
告白されて、酷い振り方をしてしまったのに、隼人は変わらずいつもの隼人で接してくれる。
ドア越しに伝わってくる優しい声色に、少し落ち着いた。
「あり、がと」
「…ううん、何かあったなら、いつでも話し聞くから。話したくなったら、言ってくれな?俺、流に呼ばれてて、今から行かなきゃならないんだ。尚を一人にはしたくないんだけど、行かなきゃあいつ何するか分からないから」
「ん、分った。いってらっしゃい」
「ごめんな、もう少ししたら俺の代わりが来ると思うから。じゃあ、行って来るわ」
代わりって何だ?
ま、いいや。蓮以外なら。
「さぶっ」
水を浴び過ぎて身体が冷えてきた。
さっさと洗って、ご飯の支度しないと。
給湯ボタンを押し、今度はお湯を出して身体を温める。頭と身体を洗って、風呂から出たら人の気配がした。
あぁ、どうしよう。下着と部屋着も持たずに風呂に入ったから着替えがない。
仕方なく、バスタオルを腰に巻いてリビングに行くと、ソファーに座ってテレビを見ている蓮が居た。
どうしよ、ヤバイ。何で居んだよ。
もしかして、代わりって蓮の事か?
隼人、それを言ってくれないと。
「よ、よう?」
俺に気付いた蓮はじっとこっちを見ている。
急いでリビングを通り抜け、自分のクローゼットから下着を取り出して、朝ベッドの上に畳んでおいた部屋着を持つと着替える為に脱衣所に向かおうとした。
「うわっ!!」
でも、いつの間にか俺の後ろに来ていた蓮に押し倒されて、仰向けに身体がベッドに沈んだ。
持っていた着替えが床にパサリと落ちる。
「ど、どうしたんだよ?あ、さっきの事怒ってんのか?……それは、本当に、悪い…勢いで」
慌てている俺が馬鹿みたいだ。
何で何も言わないんだよ。何でそんなに普通なの?
怒ってくれた方が、マシだ。
「聴いて」
「は?」
「俺の音、聴いて」
やっと話したかと思えば、蓮は俺の顔を自分の胸に埋めた。
トクン、トクン、トクンと、心地良い心音。
俺も今、蓮と同じくらいに心臓の音が煩い。
「ねぇ、聴こえた?俺、すごくドキドキしてる。尚にキスされてから、ずっと心臓がバクバク鳴ってるんだ」
顔は見えないけど蓮の声は震えていて、今蓮はどんな顔をしているのか気になって仕方が無い。
「……俺ね、尚にずっと言いたかった事があるんだ。今までずっと恐くて言えなかった事がある。…聞いてくれる?」
蓮の胸の中で、俺は小さく頷いた。
「ありがとう。……俺ね、高等部に上がってから、ずっと尚が……す、好き…だったんだ」
先程よりも激しく動き出す俺の心臓。
この鼓動が蓮に聴こえてしまうんじゃないかと、また心拍数が上がる。
「ねぇ、聞いてる?俺ね、尚が好きなんだ」
壊れそう。
どうしよ、すげー嬉しい。
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