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悶々と。
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昼休みが終わり、教科書やノートを準備し、5時間目が始まった。
教科は英語。
めんどくせぇけど、俺はノートをしっかり書くタイプだから絶対寝ない。
寝ない…けど…。
…集中できてないなら、意味がない。
「本当にいい名前だと思ったから、そう言ったんだ。」
「…。」
…なんか…なんだろう。
何で…こんな変な感じすんだろ。
すげぇムカついたけど、春夏冬の言う通り…何で安藤に褒められただけで、こんなに嬉しいんだろ…。
……。
…あれ。
「……俺嬉しかったのか…やっぱ。」
隣の列の、前から二番目。
そこには、大きな背中があって。
背筋を伸ばして、先生の話をちゃんと聞いている安藤の姿が目に入る。
…でけぇなぁ。
…何食ったら、あんなでかくなんだろ。
…何してたら、あんなでかくなんだろ。
…何時間寝たら、あんな…。
「…。」
…俺も。
こんな身体になんなきゃ。
あんな風になれてたのかな。
…なんて。
ぜってぇ口が裂けても言わない。
後ろ向き過ぎ。
そういうのは…もうやめたんだから。
…そういえば、俺ちゃんとみんなみたいに自己紹介できなかったなぁ。
あのクソ天パ野郎が余計なことばっか言うから。
あー…折角松田たちと友達になったんだから、ちゃんと俺の身体のこと、言っとけばよかったかな。
全然気にしてなかったけど、みんな自分から俺のこと聞いてこないってことは、やっぱ普通に聞きづれぇからなんだよなぁ。
……別に、言ってもどうもなんねぇけどさ。
…別に、気にしてねぇかもしんねぇけどさ。
…。
「菊池…可哀想。」
可哀想じゃねぇよ。
「一人で歩けねぇんだって。」
そうだよ。歩けねぇよ。
「俺らに何か出来ることあったら言えよ?」
そう言うのは、苦手だからさ。
だからさ、せめてさ。
「「可哀想。」」
そういう風に言うの…やめてくれよ。
「…英?」
「………えっ?」
…あれ。
…チャイムの音が、鳴ってる。
みんな、席を立ってる。
目の前には……。
「…くじら?」
「…授業、もう終わったけど。」
……え…え、嘘…。
「マジ!?」
「…おぉ。」
「俺何してた!?」
「…ぼーっとしてた…?」
…えーまじでか。
俺…全っ然授業聞いてなかったんだけど。
ノートも見事に真っ白だし…。
「でも、今日はほとんど評価の付け方とか、先生の自己紹介とかで終わったけど。」
「…あぁ。そっか。」
よ…よかったぁ…初日からやらかしてなくて…。
…ていうか俺…一時間ずっと考え事してたのか…?
……ヤバすぎだろ。
意識完全に飛んでたわ…。
…てか、何考えてたんだっけ。
「…嫌、だったか?」
「…え?何が?」
「……名前。」
「名前?……………………あ。」
英って……呼ばれたんだっけ…さっき。
「………あー…。」
…なんか、親以外に呼ばれたの初めてだから…全然ピンとこなかった…。
「…耳、赤い。」
「へっ!?」
そう言われて、咄嗟に左耳だけ手で隠した。
やべぇ…俺また…!!
「昨日と同じだ。」
「…。」
耳…熱い。
…なんでか…すっげぇ…熱い。
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