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(突然ですが)春夏冬 達治の話1–過去–
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俺が、菊池 英というこの世で一番気に食わない奴に出会ったのは、
こいつと同じ中学に転校してきた夏頃のこと。
「春夏冬 達治です。よろしく。」
小学校を卒業して、一応近所の中学校に入ったけど、俺は家庭の事情により、隣町にすぐ引っ越すことになった。
隣町っていうくらいだから、前に住んでたところからあんまり遠くないわけで。
だから、引っ越しという実感はあんまりなかった。
「はい、みんな拍手ー。」という先生の言葉により、疎らな拍手が起こる。
……ビミョウ。
歓迎されてねぇのかな…とか一瞬思ったけど、みんなの顔を見たらすぐにわかった。
…俺の外見が、怖いんだ。
俺って目つき悪いし、髪の色変だし(父親に染められた。)服装ゆるいし。
でも、自分ではわかってるけど、直す気は毛頭ない。
めんどくせぇし。
周りの奴らの目なんか気にしてたら、やってらんねぇよ。
「えーじゃあやつはし君。」
「…いや、あの…あきなしですけど。」
何だこのセンコー…わざとか?
てか、見るからに何か天然そうだな。
「席は窓側ね。そこの列の後ろから二番目。」
「…はぁ。」
スルーかよ。
「それじゃあみんな、仲良くして下さいね。しまなし君もわからないことが、遠慮なくみんなに聞いてね。」
「…はぁ。」
…駄目だこりゃ。
「誰お前。そこ邪魔なんだけど。」
「…。」
翌日。
登校した俺は自分の席に着くと、全く知らない男子に話しかけられた。
しかも…「邪魔」だと。
「…は?」
「いや、は?じゃねぇし。そこ俺の席だし。」
「……は?」
「だから、は?じゃねぇよ。どけよ。」
…何こいつ。朝からいきなり。
…誰ってこっちのセリフなんだけど。
「…ここは俺の席だ。昨日先生に言われたんだから間違いねぇ。」
ていうか…こんな奴、昨日クラスにいたか?
茶髪…だけど、服装はちゃんとしてる。
それと何より…ちび。
「はぁ?何それイジメ??俺イジメにあってんの?」
「いや知らねぇし。」
「ちげぇよ菊池!そいつ昨日転校してきた奴。」
「…転校?」
俺の斜め後ろに座っていた男子が説明すると、茶髪男子は首を傾げた。
…あれ、もしかしてこいつ…昨日いなかったのか?
「お前昨日一昨日風邪で休んだべ?そんでお前がいない間に席替えあって、お前がいない間に転校生入ったの。」
「え!?席替えしたの!?俺この席気に入ってたのに!え、じゃあ俺の席どこ!?」
「廊下側から二列目の前から二番目。あそこ。」
「うっわマジか最悪!」
「…。」
…うっせぇなこいつ。
「あ…えーっと…悪かったな。俺知らなくってさ。」
「別に…。」
「ほんと悪かったって。あ、そうだ!お前名前なんていうの?ちなみに俺は「あーもういいから。自分の席行けよ。」
「…………は?」
俺の言葉に対して、菊池と呼ばれた茶髪男子は笑顔のまま固まった。
それと同時に、教室の空気が凍てついたのもわかった。
「もういいって言ってんの。さっさと行ってくんない?」
「は……はぁ!?」
すると、菊池は顔をみるみる赤くし、いきなり大声を張り上げた。
「な、なんだよその態度!悪かったって言ってんじゃん!」
「だからもういいって言ってんじゃん。てか五月蝿いよお前。朝からギャーギャーギャーギャー。なぁ、こいつっていっつもこうなの?」
俺は、先ほど席について説明してくれた斜め後ろの男子に問いかけた。
すると「えっ、いや…えーっと…。」と言葉を濁されたけど、気にしない。
「ほら見ろ。みんな迷惑してるじゃん。」
「俺がいつみんなに迷惑かけたよ!!」
「あーうるせぇーお前超うるせぇ。」
「っっっ!!こんのぉ…転校生のくせに!!!」
そう言って菊池が俺に掴みかかろうとした瞬間、チャイムが鳴り、担任が教室に入ってきた。
「はーいチャイム鳴りましたよー。みんな座りなさーい……って、そこ何してるんですか?」
「…ちっ。」
「あれ?菊池君、今舌打ちしました?」
「し、して…ませんよ。」
「そうですか?なら席に座りなさい。あ、一昨日席替えしたので、菊池君の席はそこじゃないですからね?」
「知ってます!!」
菊池は鞄を片手に、ずんずんと自分の席に向かった。
クラスの奴らも、ほっとした様子で自分の席に着いた。
…あー五月蠅かった。
…にしても、あの茶髪…。
「「すっげぇ気に入らねぇ…!!」」
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