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会長と日野 猫カフェデート その2
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「えええっ⁉︎ なんでや桐島ぁ‼︎」
地下鉄から乗り換えをしようと改札口を出たところで、日野の携帯が鳴った。
人が大勢行き交う中で大声を上げた日野に周囲の視線が向く。
「そんなんそっちで何とかしぃや‼︎ 幹部会は一週間後言うたやん‼︎」
「コホン」
「あ…っ……と、とにかくまた後で連絡する‼︎」
公共の場でとんでもない事を口にしそうだった為、咳払いをしてやると日野はそそくさと電話を切った。
そして青ざめた顔で僕の方へと振り向く。
「い、いっちゃん…」
携帯を握り締めながら、うるうると瞳を揺らす日野を見ると、桐島さんから何を言われたのか聞くまでもなく分かってしまう。
「いいよ。また今度行こうよ」
「っでも…」
日野が組を継ぐ事になってから、突然予定が変更する事はよくあるようになった。
二人でいる時間が少なくなってしまったのは寂しいけれど、これも日野と僕が選んだ道なのだから悔いても仕方がない。
「いつ帰らなくちゃいけないの?」
「……明日の夜までに」
しょんぼりと肩を落とす日野の手を引く。
「じゃあ、早く行かないと」
「ふぇ…でも鎌倉には……」
行き先が変わっただけで、僕とのデートが無くなった訳じゃないでしょ? そう伝えると、日野はまた涙目になって僕の後ろをついてきた。
「映画……はこないだ行ったし、どこ行こうか」
「い、いっちゃんちょい待ち‼︎」
駅の外に出ると日野はピタリと立ち止まった。
「いっちゃんの行きたいとこ行こ‼︎」
「僕の行きたいところ?」
「そ‼︎ 一日しかおれんならこの一日はいっちゃんの為に使いたい‼︎」
ビシッと僕の両手を握り締めながら言うもんだから、少しびっくりする。
「僕だって日野に楽しんでほしいんだよ?」
「俺はいっちゃんとおれるだけで楽しいよ」
「…………そ、そう」
僕は日野のこの顔に弱い。
沢山周りには人がいるのに、僕しか見えてないような眩しい笑顔。
「日野は行っても楽しくないかも…」
「俺の話聞いちょった?いっちゃんと一緒ならどこでも楽しいって」
握った手が解け、今度は指を絡め取る。
日野の馬鹿が恥ずかしい事を言うから、体が火照って熱い。
僕の行きたいところ。日野は本当にそれでいいのだろうか……
「じゃ、じゃあ……」
だって、僕が行きたいところは……
「猫カフェ……行きたい」
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