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「今手持ちが少なくて…」
これ以上機嫌を損ねないように言ってはみたが
「ッチ、そんな金もねーのかよ使えねー野郎だなあ、俺は女の子と遊ぶ金がいるけどお前みたいな奴にはそんな金使う時ないだろ?いいからさあっ」
男はそう言うと僕から財布を奪いとった。
周りがザワザワと騒ぎ始める。
当たり前だ、初日からクラスメイトにカツアゲをされているんだから。
「…………っ!」
そんなことを考えていると、ある事を思い出す。
駄目だ、本当に今手持ちは少ないが財布の中には金を抜かれる以上に見られてはいけないものが入っているのを思い出した。
「本当に金持ってねーな、お前」
ゴソゴソと中を漁っている彼に、
「返せっ…!…」
今更ながらの抵抗を見せる。
しかしそれはもう遅かった。
男は中身を漁ってカードを取り出し、
「…水野…美琴(みずの みこと)っていうのか?女々しい名前だなっ……」
そう言って馬鹿にするように笑った。
「………ぁ?…」
…ああ、面倒事は嫌いなんだ。
…だが、この名前を馬鹿にするようなやつは…周りの輪を乱すようなやつは…大嫌いだ。
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