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熱視線
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視線を感じる。
ここのところ毎日だった。
たぶん、また、あいつだ。
くそ、トレーニングに集中出来ねぇ。なんなんだよ。なんかあんなら言やーいいのに。
苛立ちに任せてサンドバッグに思い切り右ストレートをぶちかます。
振り返って窓をみると二階の教室にあいつはいつも通りいた。
やはり目が合う。お互い逸らさない。
逸らしたら負けだ。
あいつが殊の外強い視線を向けるから、何故か張り合ってしまう。
あいつ、本庄は俺に接触する素振りも見せなかった。
話しかけるでもなく、ただ見てるだけ。時々睨むと言っても良いほどの強い視線になる時がある。そういった時は目が合うとすぐに逸らされるのだけれど。
「まーみや、なに見てんの? ああ、アレか」
視線を窓の外に向け、嫌な笑い方をしながら田中が言った。
視線を田中に向けて睨みを利かせてからグローブを外す。500mlのミネラルウォーターを煽った。
田中は何が面白いのか不愉快な笑みをやめない。
こいつぶっ飛ばしてぇ。
「本庄くんはいつ告ってくれるんだろう? 僕、早くしないと浮気しちゃうぞっ」
こいつぶっ飛ばしてぇ。
シナを作っていう田中を、今度は欲望のままに殴り飛ばした。
痛いと喚く田中を黙殺して、グローブを嵌め直しパンチングに向かう。
あいつの視線はもうなかった。
「しっかしさぁー、間宮あいつに何したんだよ?」
俺が聞きてぇよ。
パンチングの戻る位置を確認しながら素早く拳を撃ち込む。
「なんでも本庄くんってバンドのコトしか興味ないらしいよ? そのせいで2年生2回目やってるって。あんな顔してるからかなりモテんのに彼女いないらしいし」
ひょっとしたらひょっとするかもねぇー?なんて言っている田中に殺意を覚えた。
「あ、3分たったよ?」
田中はボクシング部に在籍してるくせに、当然のように制服姿でストップウォッチを握る。
ボクシングってかっこいい! だけど、汗かくのきらいなんだよねぇ、ぼく。
田中はそう言って勝手に俺のトレーナーを名乗ってた。
期待のホープをぼくが育てたって言うとモテそうじゃん、というのが理由だった。
くだらねぇ。
だけどまぁ、いると便利なのはあるな。こうやってタイム計らせたり。バンテージは俺がやるより上手く巻く。
ふと、本庄が頭を掠めた。
女がいう王子様がいたらきっとあんな顔してんだろうな。身長は俺より少し低いくらいだから、175くらいか。つぅか、あいつバンドやってんのか。あの顔でロックかよ?
「似合わねぇ」
え、なに?と言う田中の言葉に応えずに俺は言った。
「今日のミットお前な」
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