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十二
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北村君と高岡君に急に話しかけられた……。
少し怖いなぁと思ってしまって。反応がまたいつもと同じになってしまった。
高岡君は急に俺の所に来た北村君を引きずって行ったけど……。
チラッと引きずられて行った方を見れば川崎君が俺の方を見ていた。
そして反射的にパッと顔を背けてしまった。
今のは感じ悪かっただろうか。
やっぱりあの2人もいつも川崎君と一緒にいるし2人とも明るいからすごい目立ってるイメージだった。3人で騒いでる所に他の男の子も参加してる感じ。
よくよく考えてもやっぱり俺にはああいう雰囲気は合わないんだろうな、って思っちゃって。別に嫌とかそんなこと全く思わないけど俺とは別の世界の人たちなんだなぁ、って。
それでもさっきの川崎君の視線を無理やり切ってしまった事に心臓が少しだけキュってなるような罪悪感が残った。
もう一度視線を川崎君たちに戻せば川崎はもうこっちを見ていなくて北村くんたちに何やら不機嫌そうに喋っているようだった。…怒らせちゃったのかな?もしかして。だとしたらどうしよう……。
北村くんにも言われたけどこの間のカフェでの出来事を思い出す。あの時俺が話せたのは本の話と川崎君が思っていたよりもずっと優しくて聞き上手で俺の薄い反応とかおどおどした対応にも笑顔で反応してくれたからだ。誰にでもあんな感じで話せるのかと聞かれたらイエスと答えるのは難しい。やっぱりあの日の川崎君は俺にだいぶ気を使ってくれたんじゃないかな、と。
ここ最近川崎君は毎日俺に挨拶してくれる。それもこないだのカフェで会ったから学校でも気を使ってくれてるんじゃないかって思っちゃって、なんとなく申し訳なさと遣る瀬無さと寂しさが押し寄せた。
本を伏せて少し下に俯いていると、本に影がかかった。
「どうしたの?…洋君」
「う……戸田ちゃん…」
目の前に立っていたのは戸田ちゃんだった。戸田ちゃんは中学が同じで今年も同じクラスになった。多分クラスでは1番一緒にいる方だと思う。
「洋君朝から百面相だよ。川崎君が挨拶してから」
「え?!……いや、そんな事…」
「あるある」
ニヤニヤしてる戸田ちゃん。戸田ちゃんとは普通に喋れる。戸田ちゃんて変わり者なんだよなぁ。趣味は人間観察らしい。
「なんかあったでしょ?何日か前に」
「え、と…あったけど…」
「洋君聞かないと話してくれないもんなぁ…で、何があったの?」
「うう……たいした話じゃないよ?」
「じゃあ話してよ」
戸田ちゃんは俺の机の前の人の椅子に座って聞く気満々だ。たいした話じゃないのは本当だ。本当なのに、何でこんなに話すのが恥ずかしいとか思っちゃってるんだろう。自分でも訳が分からなくてモヤモヤする。
結局洗いざらい戸田ちゃんに話した。
「へぇ〜…」
「へぇーって…何でそんなにニヤニヤしてるの…」
「いやぁ、別に」
ニヤニヤの後にニコニコしながら俺の顔を覗き込む戸田ちゃん。
「これからが楽しみですね」
「何それ…?」
「ふふふ」
俺の前髪をサラッと弄るとそのまま何処かへ行ってしまった。なんなんだ、どういう事なんだ。全く意味が分からずますますモヤモヤが増えていく一方だった。
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