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と、とりあえず呼吸確認!
手を親父の口元に持っていくと、ちゃんと呼吸はしているようだ。
「………おーい。親父ー?」
「………んん………」
声を掛けると、起きないもののちょっと反応するのでどうやら寝ているだけのようだ。
ほっと一安心し、親父を床からソファへと移動させる。
………なんか親父、痩せた?
元々細かったとはいえ、さらに細くなった気がする。
しかも、ちょっとやつれてる?
ちゃんと食べてなかったのかよ…。
ちゃんと寝てたのかよ…。
……俺………何やってんだろ………。
親父に迷惑かけたかったわけじゃなかったのに…。
ただ………
「………親父、ごめん………。
心配かけて………迷惑かけて………好きになって………
ごめん………」
俺の勝手な懺悔。
俺の勝手な後悔。
俺の勝手な好意。
ハハ…
俺ってホントに勝手な奴だな……。
勝手でバカで何も考えずに行動して
こんな奴、親父が好きになるわけないじゃん…。
「俺…もう諦め「何勝手に終わらしてんだよ」
「いって」
ピシッといきなりデコピンが飛んできた。
「誰が迷惑だなんて言った?そりゃ心配はしたけどさ」
「お、親父…いつから起きて…?」
「『おーい。親父ー?』から?」
「最初っからじゃねーか!!」
どうやら親父に聞かすつもりのなかった俺の勝手な懺悔は、ばっちり聞かれたらしい。
狸寝入りとか悪趣味だろ…。
「ははは。
いやー、まさか息子にお姫様抱っこされる日が来るなんてなー。貴重な経験だったな」
「………こっちは本気で心配してたのに………」
スッと親父の手が伸びてきて、クシャリと俺の頭に乗せた。
「ごめんな」
「…何に対して?」
「心配かけて」
「………そんなの………俺のほうがかけてんじゃん」
ヤバイ。
泣きそう。
「何泣いてんの」
「泣いてねーし」
「泣きそうな顔してるし」
親父の優しい笑顔はホッとする。
久々の親父だし、久々の親父の温もりだし、久々の親父の笑顔だし。
もう限界…。
俺は泣いた。
子どもみたいにわんわん泣いた。
俺が泣いてる間、親父はずっと頭を撫でてくれてた。
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