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藤川くんの本音
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「どうしたの、藤川。急に黙り込んで」
「…………」
何か言いたい…けど、なんて言おう。
我慢させちゃってごめんね、とか?
いや、それもすげー恥ずかしいな……
「……ごめん、真山。その、俺……」
「なんで謝るの」
小さく笑いながら、またぎゅっと抱きしめられる。
いつもの真山だ。
「藤川は何も悪くないんだから、謝る必要なんてないんだよ?」
「ぅ…でも……」
「でもじゃない」
ちゅっ、とほっぺにキスが落ちてくる。
そっと抱きつくと、耳にもキス。
「…藤川は俺の大切な人なんだから、もっと大事にさせて?」
微笑んで囁く声に、きゅぅっと胸が締め付けられる。
痛くて苦しい。
(……真山……)
その優しさが、俺には辛かった。
今だって、きっと笑顔の裏では…たくさん我慢してるはず。
(…俺も同じ気持ちなのに)
ぎゅっと抱きついて、首筋に顔をうずめる。
どうしたらいいの。
優しく頭を撫でられて、胸の痛みが増す。
「…藤川が気を遣う必要はないけど、あのまま家に直行しなかったことは褒めてほしいな」
「へ……?」
「さすがに公園じゃできないしね?」
(っ…!)
意味深な笑みを浮かべる真山に、どくん、と心臓が跳ねる。
公園に行こうって誘ったのは、そういう意味だったの?
もし、あのまま真山の家に向かってたら……
(…今頃、俺は…真山と……)
ぶわっと顔が熱くなる。
だって、そんな…めっちゃ恥ずかしい、やばい。
(……でも)
「……真山」
「ん?」
やっぱり伝えなきゃ。
どんなに恥ずかしくても、不安でも。
いつまでも、俺だけ逃げてるわけには行かない。
「…行きたい。真山の家」
「え?」
きょとんと俺を見る真山。
聞き返すなよ、ばか。
「…連れてって…」
ほんの少しの言葉に、ありったけの勇気を詰め込んだけど。
どうしても、その声は小さくなってしまう。
「…だめだよ、なに言ってるの。今日はもう帰すつもりなんだから」
「え……」
か、帰す…?
俺を、俺の家に?
「やだ…っ…」
「だめ。帰りなさい」
「やだ…」
「わがまま言わないの」
「…………」
「駅まで送るから。ね?」
俺が大人しくなると、いいこだね、と言って、頭を撫でてくれた。
こんなことされたくて、あそこまで勇気を出したわけじゃないのに。
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