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おやすみなさい
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「…いま抱きしめてる理由は聞かないのか?」
「…え……?」
何それ、真山のほうから聞いてくるパターン?
でも、そんなの…「俺をからかうため」だろ。
それ以外の理由が思い浮かばない。
でも一応…聞いてみるだけ。
「……いま抱きしめてるのは何なの」
期待なんてしてない。
けど、なんとなく目を見れなくて、うつむいたまま尋ねた。
「…藤川が寂しそうにしてたから」
「…え……」
待って、今までと違う。
また想像もつかないような変な理由とか、俺をからかうためとか、そんなんじゃないのか?
(でも俺、そんな寂しそうにしてたかな……)
これまでのやりとりや自分の言動を思い返していると、真山の指が頬に触れた。
「…なんか元気ない」
「当たり前だろ、風邪ひいてんだから」
「あぁ…」
なるほどみたいな顔してんじゃねぇよ。
こいつ、本当はやっぱりバカなんじゃないか…?
「じゃあ、もう今日は休め。眠いんだろ?」
「あー、うん…眠い……」
「話、長くなってごめんな。おやすみ」
俺の体から手を離して、真山がベッドを降りる。
大人しく寝そべると、布団を掛け直してくれた。
(…きもちいい……)
そう言えば、すげー眠かったんだっけ。
あったかくて薬も効いてきて、すぐに眠気が襲ってくる。
「…おやすみ、真山……」
もう、まぶたが重くて目を開けていられない。
遠のきかける意識の中で、小さく呟く。
「…おやすみ」
真山の手が優しく俺の頭を撫でて…俺は、そのまま眠りに落ちた。
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