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気のせい
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「…はぁ……」
部屋に戻って薬を飲む。
ベッドに座って布団をかけて、大きな溜め息をついた。
「ほんと、どうしたんだろ俺……」
さっき、真山の口から「好き」って言葉が出た瞬間。
心臓が大きく跳ねた。
おかしくなったのはその時からだ。
(…気のせいだ、気のせい)
錯覚ってあるじゃん?
本当は違うのに脳が騙されてる、みたいな、あれと一緒だきっと。
いっぱい優しくされてるから、ちょっと勘違いしてるだけで。
風邪が治って今まで通りの生活に戻ったら、この気持ちも、きっときれいになくなってる。
(……なくなるのか)
真山に頭を撫でられたときの、嬉しいような苦しいような、あの感情も。
笑ってる真山の顔を見たときの、あったかいような感覚も。
(ぜんぶ消えて、元通りになる)
…いいのか、それで。
(…いいに決まってるだろ)
いいんだよ、男同士なんだから。
間違ってるんだから、錯覚だから。
錯覚だから。
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