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お泊まり
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「…ありがとう、真山……」
あのあと、真山に促されて、ようやく二人で腰を下ろして。
しばらく背中を撫でてもらっていると、やっと呼吸が落ち着いてきた。
「もう大丈夫だから…」
「そう?じゃあ、何か飲み物でも持ってくるよ」
「え…キッチン行くの?」
「うん」
(…………)
こうしてる間にも、雅とのことが頭をよぎって、ぎゅっと真山にしがみつく。
一人でいたくなかった。
「……俺も行く」
「わかった。おいで」
こんな子どもみたいなこと言ったら、また笑われるかなって思ったけど、そんなことなくて。
真山は手を繋いでくれて、一緒にキッチンに向かった。
「何がいい?」
「んー…水」
「はい」
くすくす笑いながら、水を手渡してくる真山。
そこは笑うのかよ。
なんか腑に落ちない、と思いながらも、コップの水を一気に飲み干した。
「…大丈夫?」
「…うん…」
真山は、ほんの少しでも両手が空くと、今みたいに抱きしめたり、手を繋いだりして、俺に触れてくれる。
温かくて安心して、つい体を預けてしまう。
「そう言えば藤川、夕飯は?」
「あ、食べてない…」
「そう。じゃあ、何か作るね」
「マジで?」
「うん。泊まってくでしょ?」
「え……」
そんなこと、全然考えてなかった。
時計を見ると、まだ終電までには時間がある。
けど……
(…帰りたくないな……)
たぶん酷い顔になってるから、このまま帰っても心配かけるだけだし…とか考えていたら、楓にまだ連絡してなかったことを思い出す。
「真山、あの…とりあえず今日は泊めてほしいんだけど…」
「うん」
「ちょっと家に連絡してくる!」
携帯は上着のポケットの中。
上着は真山の部屋だ。
楓のことを考えたら、いてもたってもいられなくなって、急いで部屋に戻った。
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