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コツ
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「っ……」
驚いたときには、もう遅かった。
手の甲には赤い痕。
「……え?」
「ん?」
「いや、ただつけられても…なんかこう、コツとか…教えてもらわないと……」
「あぁ」
なるほど、みたいな顔してんじゃねぇよ。
これじゃ、ただ痕が増えただけだよ。
「んー…普通に吸えばつくと思うんだけどな…」
「…単に俺が不器用ってこと?」
「そこまで言ってないよ」
「言ってるようなもんだろ。ばーか」
「拗ねないの」
くすくす笑いながら、ぎゅっと抱きしめられる。
確かに、ちょっと子どもっぽかったかもしれない、と反省しながら、腕の中で大人しくする。
「要は内出血だからね?」
「…なんでそんな、ロマンのかけらもないような言い方を…」
なんとなくわかってはいたけど、改めてそう告げられるとなんか悲しくなる。
つける前からそんなこと聞きたくないよ。
理系のヤツって、そういうところあるよ。
すべての物事を理屈っぽく捉えたりとか、そういうのよくないよ。
「ふふ、ごめんね」
「いいけど…」
「皮膚の薄いところのほうが、痕つきやすいと思う」
「あ、そうなの?」
確かに、言われてみればそうかもしれない。
なんで気付かなかったんだろう。
「そうだよ、俺が聞きたかったのはそういうやつ」
「うん、ごめんね」
「他には?」
「んー……針がなんで刺さるか知ってる?」
「…は?」
待って、何これ怖い怖い怖い。
針?え??
「力が一点に集中するからなんだけど」
「…うん…?」
「だから、できるだけ口を小さくしたまま吸ったほうがいいんじゃないかな」
「……?へぇー……」
ごめん、意味がわからない。
いや、後半はわかったけど…針の話する必要あった?
「…意味わかんなかった?」
「えっと…口小さくして吸えばいいんだよね?」
「うん、そう」
「……なんで針の話したの?」
「え?そのほうがわかりやすいかなって…」
「あぁ……」
ごめん、文系の俺にはむしろわかりにくかった。
いや、理屈はわかるけど、いきなり針の話されたら……
「…まぁとにかく、皮膚が薄くなってるところに、口小さくして吸い付けばいいってことだよな」
「そうだね」
よし、頑張ろう。
小さく息を吐いてから、もう一度。
真山の首筋に顔を寄せた。
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