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風邪・4 黒咲叶翔side
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》………体育か。
更衣室につくと立ちくらみがして気持ち悪くなった。喉まで気持ち悪さが登ってくる。俺はその場に膝を折る。
「うぐっ……。」
相変わらず頭はガンガンしてクラクラはひどくなっていく。
「黒咲さん!?」
》…やばい…零に気づかれる。
そう思った。けど、もう限界だった。
「うっ…。」
なんとか気持ち悪さを飲み込んで零を見る。心配そうに俺を見る零。
それだけで俺の胸は締め付けられる。
「黒咲さん?大丈夫ですか?」
「大丈夫、大丈夫。」
いつもの笑顔で言う。いつもと違うのはこの笑顔は張り付けた笑顔だと言う事。
俺は感情のコントロールが苦手だ。つまり、張り付けただけの笑顔はすぐに剥がれてしまう。
「黒咲さんっ!」
もう一度零に名前を呼ばれた時は倒れ込んでいた。
「はぁ、はぁ…っ…ぁ……。」
》…もう、限界だ。
「黒咲さんっ!!黒咲さんっ!黒咲さんっ!!」
俺と零しかいなくなった更衣室で零は俺の名前を叫ぶ。何度も何度も。涙声で。
「…ぁ…っ。」
》大丈夫。
そう言いたいのに、そう言って零を落ち着かせたいのに。俺が零を泣かせた。
「れ………ぃ。」
「黒咲さんっ!先生呼んできます!」
その言葉に俺は思わず零の袖を掴んでいた。
》行かないで。
胸がズキズキする。零が離れてしまうそんな思いが俺の胸を締め付ける。
「ぁ……ぃ、かな……ぃで。」
こんなにも誰かを愛おしいと思ったことなんて。
こんなにも誰かにそばにいて欲しいと思ったことなんて。
こんなにも胸がズキズキするなんて。
こんなにも……。
苦しいなんて……。
知らなかった。
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