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友達だから
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「れーくん!あれ、叶翔くんじゃない?」
外トイレの近くではるが声を上げた。
トイレから少し身長の高い男が黒咲さんを抱えて周りをキョロキョロ見ている。
「はる、行こう。」
「え?あ!うん!」
はるを連れて僕はその人に近づく。
「あの。」
「え?あ!保健室ってどこですか!?」
凄く慌てているようだった。彼は心配そうな顔で黒咲さんをのぞき込む。
チクッ
》?
「保健室、一緒に行きますよ!」
「ほんとですか?」
はるが彼にそういうと彼は嬉しそうに微笑んだ。
》きっとこういう人をイケメンって言うんだ。
僕は優しく微笑む彼をみてそう思う。
彼は転校してきたばらかりで外トイレを見つけてトイレに行こうとしたらそこに過呼吸になった黒咲さんを見つけたという。
》…過呼吸……。
自分のせいかもしれない。
とっさに考えた。
きっと何かあったあの日のせいで、僕のせいで黒咲さんは体から拒否反応を起こしているんだ。
》僕は…嫌われてちゃったのかな?
「あ、俺、天宮暁!高2です!」
「同じですよ!僕達も高校2年です。」
はると彼は楽しそうに会話をはじめる。僕は何故かその会話に入れなかった。
黒咲さんの事で頭がいっぱいになっていた。
「僕は陽翔、こっちは零です!」
「よろしく!!あ、敬語はやめてよ。」
優しく笑う彼は楽しそうにはると話をはじめる。
「この子の事知ってるの?学年同じ?」
「うん、同じだよ!黒咲叶翔くんだよ。」
「叶翔か。」
チクチクッ
彼が黒咲さんの事を知る度に胸がチクチクしてズキズキする。
「叶翔と二人は友達?」
友達
その言葉に僕は頭で考えるより先に口が動いていた。
「当たり前です。」
はるが驚いた顔でこっちをみている。
暁はにこっと笑って。
「そうなんだ!仲良しなんだね!」
そう言う。
友達
そう。友達。
僕は黒咲さんが好きだ。
けど、黒咲さんが僕を拒絶するならなかったことにしよう。
全部、全部。
なかったんだ。
そして僕は強くなる。黒咲さんを傷つけないように、傷つけられないように。僕が守れるように。
恋人じゃない。
友達。
白紙に戻そう。
いつかまた、黒咲さんが僕の事を好きだと言ってくれるように。
黒咲さんが、僕に心を開いてくれるように。
》黒咲さん、待ってるから。
》傷つけてごめんなさい。
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