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動き出す闇 4
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なんだ、あの男は。
誰なんだ、あいつは。
一体なんの目的で
阿久津を襲い、呼詠に傷をつけたんだ?
ドクン、ドクンと急速に身体に血が回っていく。
「威勢だけは良い犬っころだね。ンククッ!俺のペットにでもなるかい?」
「ガッッゥッ」
呼詠の大きな犬神の身体に、男の爪がめり込んでいく。
「や、めろ...ッ」
呼吸が乱れ、上手く息が出来ない。
グッ...っとしゃがみ込むと、男が大きな声で笑う。
「ンハハハハッ!!!この腐った学園を終わらせに来たんだ!!なあ、和の鬼って奴はどいつだい?」
【和の鬼】
その単語を聞いた瞬間、煮え滾る身体が急に軽くなった。
伸びた髪の毛、発達した2本のツノ。
鬼の姿になるのは、今日が2度目だった。
「.......俺、だ」
「んぁあ?聞こえねえよ!ンククッ!ンハハハハ!!!」
倒れこむ呼詠の痛々しい姿が、目に入る。
香る血の匂いが、現実を物語る。
このクラスではトップに入るほどの実力の呼詠が、ほぼ一撃でやられた。
その事実に、クラスの皆は身動きさえ取れていない。
「....俺だって言ってんだろうがッ!!!」
身体が勝手に動く。
走り出し、男の首を爪で狙う。
ピュッと小さな音を立て、男の頬を爪が掠めた瞬間、右腕に鈍い痛みが走る。
「グ、ァアッッ!!!」
ねじ伏せられた右腕が、ギリギリと嫌な音を立てる。
額を流れる汗が、嫌にベタつく。
あー、これ右腕無くなるわ。
なんて頭では冷静に考えながら、口から溢れる呻き声は情けないほど止まらない。
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