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《看護師連続レイプ殺害事件》第2話
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柴田の車に乗り込み現場へと向かった。
車内では俺の為にと、亘、田辺、永久が前回の事件のファイルや写真などを見せながら説明をしてくれた。
田辺が眼鏡を上げ、俺に写真を見せてくれた。
「前回の事件は、大学病院だった。被害者は環祥子25歳。看護師になったのが死ぬ半年前だ。彼女が発見された時の状態は今回と一応同じらしい。現場は手術室。最初に現場へ駆けつけたのが大学病院の警備員。話によると余りにも無惨な姿だった為医師に俺たちへ連絡させたらしい。俺たちが現場に着き調べたが手術室からは指紋等の手掛かりになりそうな物は一切なかった。一応他の奴も読んでタブルチェックさせたがやはり何も出なかった。彼女はレイプされてる様子があったので検死官にレイプ検査をしてもらった。膣内にはかなり酷い裂傷はあったが、精液は見つからなかった。でも膣内には精製水、ベタイン、グリセリン、アロエエキス、ポリアクリ酸Na、所謂ローションだな。それか、滑りを良くしてくれるコンドームを使われている様子が見られた。でもそれだけじゃ犯人は絞れない。他に残された証拠はなしっ!分かったのは死因。死因は膣内の酷い傷を丸1日放置された為死亡。何か出ないか更に調べようとした時にまた事件が起きた訳よ。」
田辺は溜息をつきファイルを亘に渡した。
亘はその中で何枚かの写真を指した。
「この写真を見て、前回の被害者が襲われた時あまり高い位置じゃなかった。調べてみると身長はあまり高くない奴だと言う事だけは分かった。たぶん165〜160㎝くらい。江本くらいだね、もしかして君が犯人だったりしてねぇ。」
亘は1人楽しそうな顔で俺を見る。
全くもって笑えない。
その時永久が後部座席から身を乗り出し亘の頭を力強く殴った。
まるで鈍器で殴られたかの様な音がした。
余りにも痛かったらしく亘は頭を抱えながらうずくまり痛いとぼやいている。
永久は亘から資料を取り上げ説明を続けた。
「前回の様子からして、犯人は病院関係者なのは分かったんだけど、それだけじゃ全く絞れない。事件が前回だけなら大学病院の者だと絞り込めたけど今回は街の大きな総合病院。事件は振り出しに戻った。でも、今回の事件で、もしかしたら犯人の手掛かりか、癖や何か見つかるかもしれない。デメリットからメリットに変わった。これは犯人を絞り込めるチャンスだと私たちは思っているわ。だから、今回は更に力を入れて証拠を集める。だから貴方たちの仕事は現場の聞き込みよ。しっかり働いて。」
彼女は言い終わると車は止まった。
窓から外を見るとそこにはどデカイ病院だった。
「さ、着いたぞ。身を引き締めて頑張ろう。」
そう言うと柴田たちは車から降り、大きな鞄など持ち病院へと向かった。
受付に行き、柴田は警察手帳を見せると受付の人間が軽い会釈をし何処かに電話をした。
すると白衣を着た医者らしき人間が現われ、こちらを見て少し安堵した顔をして会釈をし近づいてきた。
「初めまして、私はここの医院長の真崎と申します。現場はこちらです。」
俺たちは彼の後を追い病院内を見渡した。
すると、少しずつ嫌な臭いがしてきた。
医院長は少し震えながら振り向き指した。
俺は彼が指差す方に目を向けると驚きのあまり声が出なかった。
柴田たちも同様なのか息を飲んだ。
「こりゃあ…前回より酷い。」
田辺は冷汗を流しながら立入禁止のテープを俺に渡した。
俺は黙って受取、扉の前に貼った。
田辺たちは靴にカバーをラテックスのゴム手袋をつけ中へと入っていた。
柴田が俺にも手袋と靴カバーをくれたので俺も皆に習い取付、中へと入った。
「今回は前回と違うのは、被害者である彼女の膣から大量の血が出ている事だな。犯人は少しずつ狂暴になっているのかも。どう思う?」
永久は冷静になりながら被害者の周りから落ちている血痕に証拠番号とスケールを置き、写真を何枚も撮っている。
亘は手術室の様子を写真に写し始めた。
田辺は仕事用の鞄から何やら道具を広げ始め準備をし始めた。
柴田と言えばその様子を見ながら何か無いか見ているようだ。
俺は黙って彼等の仕事を手帳にメモをしながら見ていた。
田辺がよしっといい立ち上がり何かの準備が出来たらしい。
「田辺さん、それなんですか?」
田辺はちょっと嬉しそうな顔を向け説明してくれた。
「テレビでも良く見るだろ?この粉をブラシに付着させ指紋を採取する。」
そう言うとブラシに黒い粉末をつけ扉から指紋採取に取り掛かり始めた。
約3時間位経過した頃、柴田に呼ばれた。
「大体科捜研の仕事は見たろ?次は現場の聞き込みだ。犬塚さんは先に着いて医院長とか現場にいた人達から話は聞いたらしいから俺たちはその他の関わりを持ってそうな人から話を聞きに行こう。」
俺たちは現場を離れた。
昨日勤務していた関係者から話を聞き終わった頃には証拠採取も終わっていたらしく田辺たちは後片付けとさっきまで居なかった女性と犬塚が話をしていた。
「柴田お疲れ、そっちはどうだった?」
柴田はメモを取っていたノートを犬塚に渡すと溜息をつきついた。
「それが全然駄目っす。目撃者もなしだし、18時まで働いていた時の被害者しか見てないって皆言ってました。犬塚さんどっすか?」
犬塚はどっと疲れた顔をし、自分が聞込みをしてメモをしたノートを渡してくれた。
「こっちも駄目だ。手掛かりは一切なし。で、翠の方は何か出たか?」
名前を呼ばれた彼女は振り向き首を横に振った。
「前回と同じ、指紋も無ければDNAになりそうな物もない。普通何かしら出てもいいと思うんだけど…多分犯人は綺麗に証拠を消していったのね。どっかでうっかり消し忘れた物とかあればいいんだけど…。あ、そうだ。彼は新入り君?」
翠と呼ばれた彼女は俺を興味津々に見てきた。
「私はウィローズ・翠よ。アメリカと日本のハーフ。貴方が桐生に気に入られた可哀想な新人くんね。宜しく!」
「…よろしくお願いします。」
またあの桐生の名前が出てきて俺はあらか様に嫌な顔をすると翠は笑いながら荷物を持ち先に戻るわねぇーと言い出て行った。
中を少し覗くと濃紺の上着を着た男が死体を担架に乗せ運んでいった。
ラボに戻りさっきいた会議室に向かった。
中には氏家さん・翠と眼鏡をかけた男がファイルと写真を広げていた。
この課は眼鏡率が高いなぁ等余計な事を考えていると眼鏡をかけた男がこちらを見て優しく笑った。
「やぁ、大きくなったね…あの時はまだこんな小さかったのに…。子供の成長は早いねぇ氏家くん。」
男は手でこれくらいだったよね!等氏家さんと楽しそうに俺の事を話している。
何処かで見かけたような…あっ!!
「開発さん!!お久しぶりです!」
思い出した!
俺があの事件で気を失っていた時にずっと抱き抱えながら支えてくれた恩人の1人だ。
「思い出してくれたんだね!いやぁ、すっごく嬉しいよ!君がこの課に来ると聞いてウキウキしていたんだ!この事件が終わったら皆で飲みに行こうね!」
開発さんは今から楽しみだね!と氏家さんと楽しそうに笑っていた。
それを見て呆れたのか翠がわざとらしく咳払いをし話を戻した。
「犬塚と柴田が聞込みをした結果、被害者は夜の見回りをする時まで普段通りだった事。何かに怖がっていたり、落ち込んでいたりもなかったみたい。犯人はその場で遭遇した女性を狙って犯行に及んでいるのかしら?どう思う?」
翠が開発さんに話を振るとんーっと言いながら今日起きた事件の写真を見ながらある事を呟やいた。
「今回の事件は犯人の狂暴化が見られるのは間違えない。前回は血が出る程のレイプはしていない。だが、検死結果はレイプによる膣内の暴行が余りにも酷くそのまま1日放置れた為だと書かれている。何故、1日も見つからずにいたんだ?今回は死んでから半日も経っていない。犯人はすぐに見つかる様に手術日を把握していたのかもしれない。そうなると犯行はまた起きるし、直ぐに見つかるかもしれない。」
開発さんは何か犯人と分かる物的な証拠が出れば捜査が進むのに…と小さく呟いた。
俺と柴田は彼等の近くに座り一緒に資料を見る事にした。
何か見落としがないかと…。
そう言えば…こんな大きな病院なら監視カメラとかないのか?
「あの、監視カメラはついてないんですか?」
開発さんがパッと顔を上げて何だか少し嬉しそうに笑っている。
「いい所に気が付いたね!でも、残念ながら病院の監視カメラは1階の出入口・受付カウンター・ホール・売店くらいにしか付いてなくてね…。それに…病院なんて意外と色んな人間が出入りしているんだよ。だから監視カメラを見ても犯人の特定は難儀すぎる…。」
んーっとまた3人は悩んでしまった。
柴田は写真をじっと見て何か探している様だし、俺もまた何か見落としがないかじっと見た。
そしてある事に気が付いた。
「被害者の体からはローションらしき液体意外には何にも出なかったんですか?」
翠がファイルをめくり俺に見せてくれた。
「精液も皮膚も見つからなかったわ…。手足を縛られる前に抵抗してれば爪の間に皮膚とか挟まっていたら良かったんだけどね。何か気になる事でも?」
俺は見せてくれたファイルと写真をじっと見てコクリと小さく頷いた。
「被害者は犯人とセックスしたんですよね?もしかしたら被害者の陰部に犯人の陰毛とか移ってたりしてないかなぁーなんて思ったんですけど…そんな事ってあったりしちゃいます?」
新人の俺がでしゃばった事をしたかなぁとだんだん不安になり最後の方は皆に聞こえるか分からないボリュームで話した。
正直、自信なんて全然ない。
ただ思った事を言っただけで…皆の顔を見るのが怖い。
暫く黙って俯いていると開発さんと翠さんが猛ダッシュで会議室から出て行った。
2人が出て行った扉を見てから氏家さんと柴田を見ると俺の顔を見てニヤッと笑った。
「いやいや、流石だね。見る所が違う。そんな所に目がいくなんて…これは将来有望かも。柴田くんどう思う?」
「10年後には桐生さんを超してるかもっすね。流石、キァリア組を押し退けてトップで警察学校卒業した訳だ。」
氏家さんは兎も角、なんで柴田までその事知っているんだ。
氏家さん意外には秘密なのに…。
その後俺たちは解散した。
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