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序
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ふぁあ,と大きな欠伸が出た。
もうこんな時間か。
俺はそこそこ大きい寝台から身を起こす。
服は着ない主義。四郎ちゃんがいつ夜這いに来ても良いようにね。
「御門,出掛けるぞ」
俺の部屋の扉を叩くこともせずに四郎ちゃんが入ってくる。
俺の恋人で,祓い屋の鋏屋四郎。そこそこの腕はあるんだけどツメが甘い,ツンデレ旦那様だ。
「はぁーい」
気の抜けた返事で四郎ちゃんに返す。寝台から身を起こした俺がなにも身につけていないのを見れば四郎ちゃんが慌て出す。
「ば,馬鹿,服着て寝ろ...!か,風邪引く!」
今更なに照れているんだか。俺と散々まぐわってるくせに。でもそんな四郎ちゃんが可愛くて仕方ない。
俺は照れている四郎ちゃんをわざと煽る。
「照れちゃって...一昨日は散々裸で抱かれてたくせに」
「あれはお前が...!...!五月蝿い!仕事だ!女装はいらん,行くぞ!」
真っ赤な顔で四郎ちゃんが首を振る。可愛い。
仕事,と言われれば俺は適当に床に落ちていた浴衣を羽織る。黒い帯でだらしないままだが縛り,其の儘出て行ってしまった四郎ちゃんを追いかける。
フックショットを使って四郎ちゃんは屋根を伝い,移動する。でも俺は鬼だから必要なく,高下駄のままぴょんぴょんと跳ねてその背中を追う。四郎ちゃんが「くそ,半妖が」と妬んできたが無視。
わざと余裕な顔で屋根の上を走る。
俺たちは今,「妖怪退治」に向かっている。
鬼の子である俺が何故かって?
半同族の妖に義理はない。むしろ昔に酷い目にあっているから,憎い。
一方半同族の人間(主に四郎ちゃん)には助けてもらった恩もあるし何より四郎ちゃんが好き。だから俺は四郎ちゃんの相棒として妖怪退治に来てるってわけ。
「此処だ」
四郎ちゃんが足を止める。屋根から見下ろせば其処には邪魅と呼ばれる妖が蠢いていた。
理由は知らない。ただ俺たちは祓えと言われるから祓いに来るだけ。恨みはないがすまないと内心思いつつその邪魅を観察する。どうやら,人を喰う種族らしい。
「行くぞ」
四郎ちゃんが飛んだ。邪魅の前に飛び降りて手に持った短刀や札やらで戦っている。一通り上から観察した俺は邪魅の弱点を見つける。
「とーう!」
半分ふざけながら飛び降り,四郎ちゃんを取り押さえた邪魅の上に着地する。その反動で四郎ちゃんが解放された。俺は鬼火を操って邪魅の額部分を焼く。大きな唸りを上げながら邪魅が萎み,消えていった。
「一丁上がり」
あはー,と無邪気に笑いながら四郎ちゃんの方に近寄る。悔しそうな顔で睨みつけられるが知ったことか!
四郎ちゃんがその場で手帳になにやらを記入し,その場に聖水を撒き,退治完了。
ふと見上げると月はまだ高い。
自分より背の低い四郎ちゃんを見つめながら屋敷帰ったらご褒美もらおう,と決意した。
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