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いろいろ考えていてもなにも始まらないから、俺は行動に移すことにした。
「何が食べたい?」
「霧ヶ峰ってどんなやつなんだ?」
「和菓子と洋菓子、どっちがいい?」
YesとNoでは答えられないような質問をして、彼が言葉を発するように促した。
あれこれ話しかけるようになってから数時間経った時、彼の方から声をかけてくれた。
「……あの…、俺は…発言権をいただいてるんでしょうか…?」
「は?」
…とてつもなく長い沈黙が訪れた。
「え、ごめん。もしかしてなんだけど自分に発言権とやらがないから俺の質問に対して一つたりとも応えてくれなかったのか?」
「……コクっ」
………なんてこった。
優と初めて会った時は優の方から挨拶とかしてくれてたから、「奴隷」っていうのはそういうやつらだと思っていた…なんて、俺って最低のヤツなのかも。
「人間」はひとくくりにしなかったのに、奴隷はこういうもんだって、心のどこかで勝手に決め付けてた。
…優に次会う時までに、こういうことを一つでも減らしておけるようにしておこう。
いや、今は…。
「俺の前では発言権とかそういうの気にしないで、なんでも話してくれていいからな。」
そう告げると、ずっと下を向いていた顔を上げて、俺と目を合わせて
「はいっ…。」
と、返事をしてくれた。
優の過去に一歩近づいた気がした。
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