アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
(助けてください)後輩くん
-
「おらさっさと来いよ」
「っ」
きっちりセットされた金髪にピアス、細い指にしてはごつめの指輪に香水、
見た目はかなりチャラく、軽薄そうな目付きも相まって主犯はどこかのホストのようになっていたが
顔は二年前のまま変わっていなくて、真咲は腕を引かれるまま
蘇ってくる記憶のせいで逆らえない。
周りにいる取り巻きのような、これまたチャラくなっている四人も顔は変わっていなくて
真咲の肩に腕を回したりと逃げられないようにしている。
「タカの従妹がさあ、お前と同じ学校で。
最近それ知って探してたんだよね、
オレらの玩具、もっかい遊ぼうかって」
「……、……」
「なんか言えよ、おい」
「い……っ」
5人に連れてこられたのはカラオケで、
肩に腕をまわしてぺらぺら喋ってくる取り巻きの一人に
真咲が恐怖で硬直して答えられないでいると、
げし、と他の取り巻きに横から蹴られる。
痛さに顔を歪めると、どっ、と下品な笑い声があがって。
逃げたい、怖い、と真咲はぎゅっと目を瞑った。
羽島と神楽は呼べない、邪魔しちゃいけない、
家族だって二度とあんな心配をかけるわけにはいかない。
もし、まだ真咲のもとに大神が居たら。
そしたら今すぐにでも助けてと、そう言えたのに。
もう今は自分のものじゃない大神を思ってぎゅう、と胸が締め付けられた。
「……おい、そこ替われ。
ここ画面見にくい」
「え、ああ、なんだよタカ歌う気満々じゃん!」
「金払うんだから歌わなきゃ損だろーがバァカ」
真咲が怖さに震えてしまっていると、
今度はタカと呼ばれたリーダー格の男が真咲の隣に座る。
真咲がそれにびくりとまた震えると、心底嫌そうに舌打ちされて。
「気分盛り下がんだよ、いちいち震えんじゃねえ」
「そーそー、大人しくオレらのお財布してくれたらいーからさー」
「それかこの顔で女連れてきてくんない?
あ、扱い方わかんないんだっけ、ごめんね~」
ぐい、と労りなく顎を強く掴まれてまた笑われて。
無心になろう、そうすればそのうち終わる、と
真咲はぎゅっと震える手を握りしめて表情を無くす。
「あーあ、またそのお人形モード?
それやるからひどくなんのわかってる?」
「オレら真咲ちゃん泣かせてストレス解消したいんだからさ~」
「久しぶりに遊んでもなんも成長してねーのな、
玩具は進化してかないとスクラップ行きだろ」
ぎゃはは、と下品な笑い声が響いても
真咲は震える体を必死にいなして表情に出さないようにする。
するとそれが気に入らないのか、取り巻きの一人に前髪を掴まれ、
がん、と強くテーブルに額をぶつけられた。
「なんか言えっつってんだろ」
「~っ……!」
「あーほんとつまんねー、
お前存在価値ゼロに近いんだからさあ、
オレら楽しませるぐらいしろよな」
「ほんと、この綺麗な顔ぐらいしか……」
前髪を掴んでいた取り巻きが、何かを考えついたように言葉を途中で止める。
そしてなあ、と周りに声をかけて、にやりと笑ったと思うと
ぐいっと勢いよく真咲のシャツをたくしあげた。
「な、にす……っ!?」
「こいつさあ、抱けると思わねえ?」
「うっわ、マジかよお前!
最近彼女にフラれたからってヤケか?」
「だって考えてみろよ、この顔でさあ、
体こんだけ薄いわけだし……」
「ひっ、ぅ……!」
「…………へえ」
やばい、と思った時にはもうテーブルに押さえつけられていた。
体が薄い、と言われて腹筋のあたりを掌で撫でられて
思わずひきつった声でびくんと震えてしまった。
それを聞いた取り巻きは好色な笑みを浮かべて
わらわらと押さえつけられた真咲の周りに寄ってきた。
「なんだ、こっちのが殴るより反応すんの?真咲ちゃん」
「女の扱いわかんねーのはそういう事~?」
「や、だ、やだ、やだって、やめ、やめろ…っ!!」
ぐ、と二人に肩を押さえつけられて
真咲は真っ青になって怯える。
目に涙を浮かべて必死に抵抗すれば、にやあ、と
周りが嫌な笑みを浮かべた。
「あー……それそれ。
そーいう反応見たかったんだよ、真咲ちゃん」
助けて、助けて、そう思いながら真咲は心の中で必死に大神を呼んで、
数の暴力で全く体が動かせない恐怖に目の前が滲んだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
44 / 426