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ぶかぶかのシャツ
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結果的に一歩踏み込めたかというと、一歩どころか半歩にも満たなかった気がする。
出来ることなら何があったのか聞き出したかった、というのが本音だ。
でも今の彼にそのハードルは高すぎるようで、とりあえず泣いたことで何かが吐き出されたなら良かったと思う。
泣き出してしばらくすると、腕の中の肩の震えが治まってきた。
もっちーは俺の胸を押して体を離した。
「あの…すみませんでした。勝手に大泣きしてしまって…」
真っ赤になった目はまだ潤んでいたが、涙はもう止まったようだ。
心なしか、すっきりとした顔になった気がする。
「ええよええよ。顔、洗ってくるか?」
はい、と頷くもっちーを洗面所に案内して、俺は冷めたカレーをレンジで温め直した。
顔を洗って帰ってきたもっちーはまだ目が少し赤かったが、表情は少し緩まったように思えた。
二人でまたカレーを食べ始めて、別にええよって言ったのにもっちーが後片付けをしてくれた。
「新しい下着と、俺の服で良ければ貸すで」
先に風呂に入った俺はもっちーに風呂を進めた。
バイト先から直接うちに来たので、着替えは持ってないだろう。
「はい。すみません、お借りします」
「ほな、サイズが良さそうなの探しとくわ。後で洗面所のかごに入れとくさかい」
「ありがとうございます」
もっちーは風呂に入り、俺は服を探し始めた。
どれにしよう…
俺は男の中でもどっちかと言うと大きい方だが、もっちーは逆に小柄で細い。
タンスの中から小さめのシャツとズボンを選ぶ。これでももっちーには大きいだろうが、新しい下着と一緒に洗面所のカゴに入れておいた。
「お湯頂きました」
「おつかれさん、服どやった?ちょっと大きいとは思うんやけど…」
振り返ると、俺の服を来たもっちーがいた。
予想通り、かなりぶかぶかなようだ。
丈はちょっと長いくらいだけれど、細身だからか布が余りまくっている。
それでももっちーは笑って大丈夫です、と言った。
文句をつけるような子ではないと知ってるから逆に申し訳なくなるが、実際問題俺はあれ以上サイズの合う服を持っていないので仕方がない。
「ほな、布団敷こか」
布団を二組出し、シーツを敷いていく。
ふともっちーが下を向いた時、ぶかぶかのシャツのせいで露出した白い首元に青紫の痣が目に入った。
俺は見てはいけないものを見てしまった気がして、すぐに視線を外した。
やっぱりサイズの合う服の方が良かったな…
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