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距離を置こうなんて、別れる前の不誠実な恋人がドラマとかの中でよく言うやつだ。蒔田はこれまで言われたことも、言ったこともなかった。
それを自分の口から吐いて、大事な人を傷つけてしまった。あのときの、深山の見開いた目、こわばった口元。あの顔を思い出すと今も胸が痛い。
×××
そんなある日。
『マキー!ちょっと話があるから電話!』
こっちでのいざこざなど知る由もない、柴田からの突然のメッセージ。蒔田はバイトが休みで、部屋着でだらだらとしていたけれど、条件反射で居ずまいを正してしまう。
いつもならこっちの都合おかまいなく、突然かけてきそうなものなのに。あえてこちらからかけさせるというのは、どういう風の吹き回しだろうか。
母校の、野球部のことだろうか、それとも。そんな風に考えながら画面の『柴田先輩』をタップして数秒。たぶん呼び出し音が2回か3回、鳴るか鳴らないかで通話が始まる。
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