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”13” 王子、途方にくれる‐9
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この隙に、野坂と芙柚に、健と無事に合流できたことを、時間も時間だしLINEしといて。
ほかほかに温まり血色の良くなった濡れ髪の健が浴室への続き窓から、ひょっこっと顔を出す。
「終わった?じゃ、ぱぱっと入っちゃうから、健はちゃんと髪の毛乾かしててね」
ばばばっと慌てた健の手がタオルを掴んで髪に載せる。
健の髪を乾かすのもすごく好きなんだけど、今は、ちょっと、その余裕はない。
所構わず押し倒しちゃって襲いそうだもん。健のやることなすこと、すべてが可愛くて。
俺とドレッサーと湯船のあるところで、すれ違う時、ハンガー手にして、今、着てる服をかけて、
消臭スプレーかけてる辺りが、いつもの、ちゃんとしてる健っぽくて。
そんなことに、じーんと嬉しくなっちゃってる俺って、末期の健中毒。
まだ、健がそこにいるのに、ぽいぽい服を脱いでったら、真っ赤になって、居なくなった。
わかってますからね?奥さんの視線。ばっちり、すっごく元気な俺のモノ、見たって。
別にいいのにな~、健に見られても全然。つーか、見よう?
せっかく、ここのシャワー透明のアクリル扉で仕切られた個別ルームだし。
悶々としてシャワー浴びちゃってる~。かっこいい~。ドキドキ~。みたいな。
これから濃ゆ~い夜を過ごす二人なんだし、あ~僕で興奮してくれてるって喜んでくれてもさ。
舞い上がってる気持ちを、湯船の方で少し落ち着かせて。
久しぶりに着る、ホテルのバスローブを羽織っただけで、髪を、ざーって乾かしちゃって。
ちょっと生乾きでもいいかって、もう、ナイトランプだけになったベッドの側まで行く。
さて、健は・・・・・・
あれ?寝ちゃってる?
いや、寝たふりかも、あんな盛り上がった気分だったんだしね?
健ったら、すっごい恥ずかしがり屋だし。
ベッドのカバーもそのままに、座ってた姿勢を、ころんってさせたみたいに、ベッドの上に側臥してて。
ん~なんか。
僕、座って待ってたんです、待ってた、待ってたんです・・・け、ど・・・ぐう~
って、ことだったり、するのかな?
この深い寝息は、さ。本気で、寝てるよね、うん。
この展開で、お預けですか・・・・・・俺の猫姫奥様は。
でも、さ。睡魔と闘い、ギリギリまで頑張ったの、ちゃんとわかるんだよね。
だって、ベッドヘットの方に、足が向いてるもん。
◇◇◇◇◇
昨晩の、まさかの自己処理Endで、ってことは、リベンジで朝からかも。
なんて甘い期待に別のベッドで眠った。
水瀬め、ダブルの部屋を押さえない辺り、確信犯だな。と八つ当たり、
健をちゃんと寝かせて、戻ったシャワールームでムスコ君を慰めた後、
けっこうなスピードと距離の運転に実は疲れてた俺は、なんだかんだと言いつつも、熟睡してた。
でも、ま。健と、エッチはナシでも、目が覚めたら、旨いホテルの朝ご飯を、カーテン全開で、
ベイブリッジと横浜の町並み見ながら、何にも準備なしでギリギリまで寝てて食える環境もいいか。
ここからなら、朝寝しても、大学は余裕で間に合うし。
健の状態を見てだけど、しっかり記憶が戻ってるなら、那須に返さなくてもいいだろう。
そしたら一緒に、家に、二人の愛の巣のマンションに帰ろうね。
レム睡眠の感覚。
あ~そろそろ、起きて、健にちょっかいかけちゃおうかな。
瞼の裏で、眼球がぴくぴくし出して、でも、もう少し微睡たいな。
隣のベッドで、健が、もぞもぞしてるのがわかった。
健、起きるのかな?
起きたら、朝から、昨夜の寝落ちに気がついて、落ち込んで泣いちゃうかも。
前もあったな~こんな朝。そんときは一緒のベッドで抱きしめてたんだけど。
たまには、王子にも朝のお目覚めキスを、姫からしていただけませんでしょうか?
もちろん、そのまま、俺のベッドに引き込んじゃうけどね。
意識しちゃうと、どんどん目覚めたくなっちゃって。すっかり、目が覚めたけど。
やっぱり、起こしてくれるまで寝た振りしちゃおう。
時々、薄目を開けて、寝返りが増えて何かを探してる気配の健の寝起きをちょっと観察。
う、背中向いちゃった。顔見れないじゃんか~。天使かってくらい、可愛い、で、色っぽいお目覚め顔。
ん・・・?
健、何してんの?
「健?どうした?」
急に大きく身動き、ぱたぱた自分の身体を叩いて、ぎゅっと体を丸めるから。
しかも、激しく咳込みだした。
ひゅうひゅう、呼吸が荒くなって・・・・・・え?過呼吸起こして、る?!
飛び起きて、健のベッドの上掛けを剥いで、抱き起こす。
苦しいんだろう、自分のバスローブの胸元を手が白くなるほど握り締めて。
「落ち着いて、大丈夫だからね。俺に合わせて息しよう。まず、吐いて?
大丈夫、大丈夫だから、まず、吐く。ふーって、ゆ~っくり。はい。そしたら吸おう、すーって」
医学の勉強をしだして、紙袋式は、もう古い応急処置だって知った。
俺が覚えている限り、そんな処置をした頃以来の発作。
どうして、今頃? しかも、幸せいっぱいな朝の筈なのに。
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