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練習の日々 8
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指された先を見るともう消えていたが、すぐ近くでまた星が流れた。
「わー、綺麗だね」
サシャの嬉しそうな声が隣から聞こえる。
それから次々と星が流れていった。
こんなに沢山の流れ星が見られるとは……。
キラキラ輝いていて綺麗だ。
しばらくの間、三人とも無言で空を見ていた。
「綺麗だったね。そろそろ中に入ろうか」
サシャがゆっくり立ち上がると、手で汚れをぱんぱんと払う。
それから俺に手を差し出す。
それに礼を言って手を借りて立ち上がると、何故かそのまま引っ張られて踏ん張ることが出来ずにサシャの胸に飛び込む形になってしまった。
そっと頭に手が回されて、何度か髪を撫でられた。
「サシャ?」
顔をあげて呼びかけると、俺の様子を観察するような視線と絡む。
真剣な顔でどうしたのだろうか?
もう一度呼びかけると、今度は少し息を吐いて悲しげに顔を曇らせた。
本当にどうしたのか。
どこか調子が悪いのかと口を開きかけたところで、何かを摘まんだ手が顔の前に出された。
「ごめん。葉っぱがついてたから」
摘まんでいるものに視線をやれば、確かに葉っぱだった。
髪が長いから寝転んだときに付いたのだろう。
俺の髪は細いからよく絡まったり、ごみが付いたりする事がある。
「ありがとう?」
「いいえ、じゃあ行こうか」
そう言って、また横抱きにされた。
先程の顔は何だったのだろうか?
歩くサシャの顔をちらりと盗み見すれば、悲しそうな面影はなくなって何時ものようにふわりと微笑まれた。
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