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絶望と希望.2
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桜side
「…ッ…は…ぁッ………は、ぁ……」
白羽さんに背中を押され、店から飛び出した。
行くあて何て無い。
ただ、夢中で走った。
「…なゆ…き…」
ごめんなさいと伝えたかった。
傷つかないでと、死なないでと言いたかった。
結局、守れなかったから…
悔しくて悲しくて涙が溢れた。
「…ッ…いでッ……桜…?」
歩いていた人に思わずぶつかり、上を見上げれは葉佑がいた。
隣には紅佑もいて、安堵からか、泣き崩れる俺を慌てて抱き締めてくれた。
「…桜、とりあえず那雪に電話をいれよう」
紅佑が俺のスマホから那雪に繋げて俺に帰す。
数コール目に、愛しい…優しい声が聞こえて涙が溢れた。
「…ッ…なゆ…き…那雪ッ……お願…ぃ
助けて…ッ……」
ただ、それしか今は言えなかった。
*****
「…遥。天宮はどこだ」
薄暗い店内。
冷たい目をした蔵根さんが僕を見つめる。
「話せよッ!オラツ…!」
「…ッ…!!カハッ…!ッ…ゲホッ…ゲホッ!!」
取り巻きの蹴りが腹に入り、激しく噎せた。
痛みから、涙が溢れる。
しゃがみこんで僕の頬に触れた蔵根さんは、悲しげな瞳で俺を見る。
涙でぼやけた視界で、この人の悲しみを…
痛みを、取り除いてあげれたらと…何度も、そう思った。
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