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絶望と希望.4
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遥side
僕と蔵根さんの奇妙な関係が続いていた中、綺麗な金髪の…
天宮 桜という子に出会った。
桜君を見つめる蔵根さんの瞳が、いつもより一層悲しげで、
あぁ…この人の大事だった人に似ているんだな…と思って悲しくなった。
(……嫌だ。蔵根さん…俺を見てよ…)
始めは桜君が好きじゃなかった。
だけど…身も心もすり減るまで、誰かを…
桜君の恋人だろう那雪君を必死に守ろうとする姿に、僕は昔の自分を重ねた。
(…君には、僕のようになって欲しくない)
愛しい人を救えず、ただ…側にいることに安心を求める愚かな自分に。
想い合っているのなら、尚更こんな場所にいては駄目なんだ。
眠りながら涙を溢して、那雪…と呟く桜君を見て思った。
だから逃がそうと思った。
桜君は泣きながら、逃げたら那雪が死んでしまう…と言った。
きっと…蔵根さんに脅しを掛けられたんだろう。
「我が儘だって分かっている。
でも僕は……これ以上君が傷つくのを見ていられない。
那雪君に会って、助けを求めるんだ。
君が汚れてまで守ろうとしたんだろう…?もう、これ以上汚れなくて良い」
そして、蔵根さんにも。
きっと蔵根さんは…愛しているから、大事なモノを…人を壊そうとする。
でも本当に壊してしまったら、きっと。
蔵根さんは…壊れてしまう。
だからこれは、僕の身勝手な願い。
桜君にも、蔵根にも傷付いて欲しくない…そう思ったから、
僕は…桜君を逃がした。
ーーー…その先、彼が壊れてしまう事を知らずに。
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