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崩壊
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「ユーリ。」
「あ…アーサーさま…」
「…あれはずいぶんと時間がかかるようだ……私が読んでやろう。」
小さな身体を抱き上げ、膝の上に座らせた。
ユーリの手から絵本を受け取り、ユーリを抱え直す。
「………あの………おれ………」
しかし、ユーリは何故か申し訳なさそうに自分の腰に回るアーサーの腕を見つめた。
最初は意味がわからなかったが、その意味に気づいたアーサーはユーリを一層強く抱きしめ、絹のようなつやつやの髪にキスをしてやる。
「……お前は汚くない…あれは少し性格がな………お前は綺麗だ…」
エイダが何気なく言った『汚い』という単語をユーリは気にしていたようだ。
前に思わず言ってしまい、ユーリを泣かせて後悔をしたことを思い出した。
「………でも…おれは………」
「私の言うことは間違いか?」
「あ…………」
少し意地の悪い言い方だったが、ユーリは俯いて首を横に振る。
「…ほら、そんなことをいつまでも気にしていたら気が滅入る。私が本を読んでやるというのに上の空なんて許さん。」
「………、…………」
ユーリはこく、と頷くとそろそろとアーサーの手に自分の手を重ねた。
ゆっくりとアーサーにもたれかかり甘えるように頭をすりつける。
「………ありがとうございます……」
「…………」
(…可愛いな……)
ユーリと触れ合い、エイダの言動や行動に萎えていたアーサーの心は癒されていった。
ときどきユーリの口から飛び出る突拍子な質問に優しく答えてやると、ユーリは嬉しそうに振り返る。
笑顔のユーリにアーサーも思わず口元を緩ませていた。
「何をしているの?アーサー。」
エイダが部屋に来るまでは。
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