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売られる
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ユーリの仕事は別棟の一室に毎日大量の書類を運ぶことと仕分けをすることだった。
ヴィンセント家は貴族なので、パーティのお誘いはもちろん、アーサーが美男子なのもあり俗に言うデートのお誘いの手紙も多い。
デートのお誘いは問答無用で処分ボックスへ 分ける。
(…またこんなに…でもアーサーさまにはエイダさまっていう女のひとがいる…んだよね…?)
ユーリは奴隷なので主人を見たことがない。
だから美男子だというのも、愛する恋人がいることも、噂でしか聞いたことがないわけで。
まぁ、会いたいわけでも見たいわけでもないが。
「150番」
仕分けに夢中になっていると、女の声で自分の番号を呼ばれた。
ユーリが顔をあげると、メイドが立っている。
「………はい……。」
メイドの無表情な顔に嫌な予感がする。
「来なさい。」
「っ…で、でも、まだ…し、仕事が……。」
行きたくない。
「必要ないわ。150番、あんたは売られんのよ。」
「…!!!!」
……売られる。
「早く来なさい。売られる前に鞭で打たれたいの?」
その言葉にユーリの体がビクリと跳ねる。
あれは痛い。
奴隷になりたての頃、何かで失敗を犯した。
それで鞭で打たれた。
泣き叫ぶくらい痛かった。
それを思い出し、ガタタッと立ち上がると、 メイドのもとに急ぐ。
すると、後ろから見たことのない新たな奴隷が入ってきた。
「あんたの代わり。あんたはもう売却済み。」
「っ……そ、んな……。」
あまりにも唐突すぎる。
まだルジンにお別れを言ってない。他のみんなにも。
「………ぅ……く………。」
涙が出そうなのを必死で堪える。
それをメイドは冷たい目で見つめると、ユーリの手を強く引いた。
「早くしてちょうだい。」
ユーリはメイドに引かれるまま、客室へ連れていかれた。
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