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嘘
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「どうですか?アドルフ様。」
「ふつー。」
味の加減を聞いてきたメイドを軽くあしらう。
いちいち味なんか確認しながら食べるわけないだろ。
不味かったら許さないけど。
…そんなことより…
「ねぇ、アーサー兄ちゃんってそんな忙しいの?」
壁際に立つメイドの1人に話しかけてみる。
「…いいえ…?…アーサー様は先日書類を一段落終えられたようですが…?」
…え?
「…ほんと?」
「ええ、今はあまり忙しくないようですが…」
「…でもさっき僕に仕事があるからって言ってたんだけど?」
意味がわからない。
何で嘘つくの?
「そ、それは…」
「何だよ…」
「言ってしまいなさいよ。」
何かを言い淀むメイドにイライラとしていれば、横から他のメイドが割入ってきた。
「で、でも…」
「何だ…!何かあるなら言えよ!」
「…なら私が言うわ。」
そう言うと躊躇っていたメイドを手で押しのけ、アドルフに近寄り耳打ちをした。
「…アーサー様…最近地下から連れてきた奴隷に入れ込んでらっしゃるんですよ…。」
「…奴隷に…?あのアーサー兄ちゃんが…?」
「メイドの服を着せて……アドルフ様が置いていかれたおもちゃを全て与えてしまいたした。」
僕の…?
「は!?僕のおもちゃを奴隷なんかに…!?」
「はい…今もどうやらその奴隷の部屋に食事を運ばせていたようで……
私たち奴隷のために働かされて困っているんです………」
「……………………」
…じゃあ僕より奴隷なんかと夕食が食べたかったってこと?
…ムカつく…!
「……アーサー兄ちゃんを取るなんて…許さない……!!」
14歳とは言っても、わがままに育ってきたアドルフの脳内は「大好きなアーサーを責めること」より「知らない奴隷を責めること」の方が良いと判断した。
アーサーを盗られた、そう思うともうその知らない奴隷が憎くて仕方がない。
「そいつの名前は?」
「確か…ユーリとか…」
「ユーリね…わかった…。どこにいんの?」
「城の2階の西側の部屋ですわ。」
「…ふーん…」
流石に今は行くわけにいかないだろう。
明日ならアーサー兄ちゃんの隙をつけるかもしれない…。
アドルフはニヤリと笑うと、また何事もなかったように夕食を食べ始めた。
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